仏パリの美術館「パレ・ド・トーキョー」で、卵の上に座り、ヒナがかえるまでめんどりのように温め続ける仏アーティストのアブラハム・ポアンシュバルさん(2017年3月29日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】卵1ダースの上に座り、ヒナがかえるまでめんどりのように温め続ける──岩の中で1週間を過ごすパフォーマンスを行った仏アーティストのアブラハム・ポアンシュバル(Abraham Poincheval)さん(44)が29日、さらに奇抜な偉業への挑戦を開始した。

 ポアンシュバルさんのねらいは、仏パリ(Paris)の美術館「パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)」のガラスケースの中で卵の上に座り、ヒナがかえるまでめんどりのように温め続けることで「めんどり人間」になることだ。

 この「Egg(卵)」と題されたパフォーマンスは3〜4週間続くとみられているが、その間、正気を保つために24時間毎に30分のみ休憩を取る。卵を37度以上に保つために、ショウガをふんだんに使った特別な食事を取ることで体を温めるという工夫もしている。

 ポアンシュバルさんは今月、重さ12トンの岩の中で1週間を過ごすという「ものの見方が変わる旅」を終え、トップニュースを飾った。

 しかし今回、靴を脱いでガラスケースに入るときのポアンシュバルさんは明らかに不安そうだった。

 ポアンシュバルさんはケースに入るとすぐさま厚手のケープを身にまとい、うっかり卵を割ってしまうことのないよう特注した「抱卵(ほうらん)台」に座った。岩の中で過ごしたときのことを「最高に幸せ」だったと語る一方で、長期にわたって卵の上に座ることに不安を感じていると認めた。

 彼はAFPに対し「こんなにも直接的な形で一般の人たちに姿をさらしたことはこれまでなかった。いつもは何かの中に入っていたからね。でもどんなパフォーマンスにも初めてはある」と語った。

■ニワトリに天寿全うさせると誓ったポアンシュバル少年

 ポアンシュバルさんの父親のクリスチャン(Christian Poincheval)さんは、普段は愛想のいい息子がガラスケースのなかでは観客と目が合うことを避けるのだから、このパフォーマンスは息子の心の強さを試すものになると語った。

 クリスチャンさんは「息子は自己の中に入っている」と語り、ケース越しに息子を見ることについて「テレビに映った息子を見ているようだ」と付け加えた。

 クリスチャンさんによると、ポアンシュバルさんは子どもの頃にニワトリを飼っており、自分が卵からかえした「ニワトリ君、ニワトリさん」に天寿を全うさせると誓っていたという。

 バラやチョコレートの豊かなにおいのする錠剤を発明したことで知られるクリスチャンさんは「豪華な鶏舎など、ヒナを迎える準備はすべて整っている。彼らが宴会のメインディッシュになることは絶対にないと請け合うよ」と述べた。

 クリスチャンさんはこのパフォーマンスを人生のサイクルにおける瞑想と捉えている。卵のふ化に必要な期間は21〜26日ほどで、これは女性の生理周期に相当する。

 フランスの最先端を行くアーティストとしばしばポアンシュバルさんは、奇抜なパフォーマンスで知られている。クマのはく製の中で虫を食べて2週間過ごしたこともあれば、岩の下に8日間埋まったことも、巨大な瓶に入ってローヌ(Rhone)川を下ったこともある。昨年にはパリの鉄道駅前に設置された高さ約20メートルの柱の上で1週間過ごした。

 そんな彼には、雲の上を歩くという大きな夢がある。その夢について彼は「5年間取り組んでいるけど、まだまだ先は長いね」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News