黒人少年の成長を描いた映像詩『ムーンライト』

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本年度アカデミー賞作品賞、他2部門受賞、バリー・ジェンキンス監督が描く黒人少年の成長を描いた映像詩。

脳裏に染み込み、真新しい視点で世界を見させてくれる本作の不思議さを、どう形容したらいいのだろう。気がつけば『ムーンライト』の海に飲み込まれている。安易なカテゴリー分けがいかにくだらないかを示す革新的なこの映画を、あえてツイート・サイズで紹介するならゥ泪ぅ▲澆亮茲蟷弔気譴臣楼茲嚢人のゲイとして孤立しながら大人になることについてイ箸い辰燭箸海蹐。

子供の頃のシャロンはゲイという自覚がない。だが、いじめグループから執拗にいじめられる。学校で唯一の味方、ケヴィンは「やり返せ」と言うがシャロンには無理。そんななか、シャロンの心を開かせようとシャロンに寄り添うのがキューバ出身の売人、フアンだ。フアンは「自分の道は自分で切り開け」とシャロンを諭す。麻薬の売人が手本とはありがちな展開、と思っていたら、足元をすくわれるので要注意だ。

16歳になったシャロンは、学校でのゲイいじめが激化するなか、思い切ってケヴィンに性的嗜好を打ち明ける。今や女たらしで有名な親友が、同性への興味を月夜のビーチで露わにするシーンは驚くほど優しい。だが表向きには不良と仲良くしているケヴィンは、シャロンに対する暴力に加担する。ついに鬱積した怒りが爆発してシャロンは少年院へ。

10年後のシャロンの姿はショッキングだ。ダイヤのピアスにゴールドの歯型をはめた姿はストリート版グラディエーター。シャロンはマイアミを離れ、アトランタで小さなドラッグ王国を築いていた。そこへ電話をしてくるのがケヴィンだ。かくしてシャロンは故郷を訪ねる。感情を押し殺した前科者と、ダイナーを切り盛りするバツイチの子持ち。二人の再会には、えも言われぬはかなさが漂う。本作について特筆すべきは震えるほど繊細な情感だろう。バリー・ジェンキンス監督は、ドラッグや暴力が当たり前の日常でも心に壁を造れなかった、シャロンという映像詩を産みだしたのだ。

『ムーンライト』
監督:バリー・ジェンキンス
出演:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース
3/31(金)より、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
http://moonlight-movie.jp/