夏目:標本木が変わるかも

写真拡大

まあ、こんなに花が遅い年も珍しいが、ややフライング気味の東京に続いて、各地で開花宣言が聞かれるようになった。その桜前線の北上を占うのはソメイヨシノ。日本の桜の代表だが、これがいまピンチだという。どういうこと?

恒例の皇居乾通りの桜の一般公開が、今年は中止になった。理由は、樹木の老朽化による植え替え工事のため。皇居だけでなく、桜の老木が伐採される事態は全国どこでも起こっている。

街路樹診断で、根元の空洞化、腐食きのこの繁殖とか、倒れると危険だからと、伐採・植え替えせざるをえない。その大部分がソメイヨシノだ。何しろ日本の桜の80%を占める。それが今、60年という寿命を迎えている。さらにもうひとつ、病気がある。

伝染病にかかりやすいソメイヨシノ

日本花の会の結城農場では今、ソメイヨシノは配布も販売もしていない。理由が病気。ソメイヨシノは「てんぐ巣病」という伝染病にかかりやすい。植えれば植えるほど広がりやすいからだという。

「てんぐ巣病」は、カビの一種が原因の伝染病で、感染すると、枝が異常に増えて花が咲かなくなる。最終的には、衰弱して枯れてしまう。ソメイヨシノは各地で寿命を迎えているのに、植えることもできないとなると、日本の桜はどうなる?

他の品種への植え替え進む

結城農場では、ジンダイアケボノという桜を、ソメイヨシノの代わりに提供しているという。ジンダイアケボノの花は、ソメイヨシノより赤みが強く、てんぐ巣病にかかりにくい。開花時期もほぼ同じ。桜の名所、東京・国立市では、植え替え計画を検討しているという。

横浜市の港南桜道では、街路樹の植え替えが進んでいる。ソメイヨシノからヨウコウザクラという品種への切り替え。この品種は斜め上に枝を伸ばし、横に広がりにくいことから、街路樹に適していると判断した、と担当した港南土木事務所はいう。

都内の小金井公園。ここではコガネイウスベニザクラという、ここにしかない桜の植樹に力を入れている。ボランティアによる苗木作りも行われていて、「これを小金井公園の顔にしたい」と「桜守の会」の伊東正義さんは言う。「長持ちさせるためには、手入れが楽で、病気が発生しない桜がいい」

司会の夏目三久が、各地のソメイヨシノの危機的状況を伝えた。兵庫・加古川の日岡山公園では、20年前1500本あったものが、今1000本に。また、東京の名所目黒川では、枯れる木が続出して、「サクラ基金」が立ち上げられ、植え替え再生計画を検討中だという。

夏目「桜の名所をどう守っていけばいい?」

竹内薫(サイエンス作家)「ソメイヨシノはクローンなんです。一本のソメイヨシノから接ぎ木で増やしていったので、遺伝子が全て同じ。同じ体質なので、一本が病気になるとぜーんぶになってしまう。どうしたらいいかというと、『品種の多様性』しかない。同じでないいろんな桜を植えていく」

夏目「標本木が変わるかも」

石井大裕アナ「同時に開花しないかもしれない」

竹内「それも楽しいんじゃないでしょうか」(笑)

その実例は、国会前の尾崎記念館で見られる。全国各地から集められた様々な桜が、バラバラな時期に長々と咲いている。