専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第98回

 昨年の全米プロ選手権を制したジミー・ウォーカー(38歳/アメリカ)という選手が、42インチのドライバーを使用していて好調だそうです。通常、ドライバーは45〜46インチぐらいで、スプーンが43インチ台ですから、3番ウッドより短いドライバーとなります。

 ジミー・ウォーカー選手は、38歳ながら飛ばし屋で、平均飛距離は300ヤード超えを誇ります(昨季PGA平均飛距離ランキングは24位。松山英樹選手は65位)。名前からは地味そうですが……って、ジミーを日本語として読んじゃあ、あかんって。

 実際は、派手なタイプという印象です。派手にかっ飛ばす選手だから、短尺ドライバーを使っても「試合には影響がない」と判断したのでしょう。

 とはいえ、そもそもジミー・ウォーカー選手のドライバーは44インチと短かったのです。そこから、さらに2インチ短くした狙いは、ずばり方向性です。フェアウェーキープ率を、50%台から60%台に上げることが目標で、飛距離は多少落ちても仕方がないという考えだったそうです。

 その結果、なんと飛距離はさほど落ちることなく、フェアウェーキープ率は上がっているとか。何ともうらやましい限りです。

 というわけで、この短尺ドライバーを、アマチュアの我々もうまく利用できないものかと思ったわけですが、そんなことを考えていたら、とあるゴルフ雑誌の企画で、短尺の42インチドライバーを試打する機会を得て、さっそく読者を代表して打って参りました。

 実際に打ったのは、そのゴルフ雑誌と懇意のメーカーが作った特注品でした。現状では市販品がほとんどなくて、特別にこしらえるしかないそうです。

 で、試打した結果ですが、自分のドライバーの平均飛距離が220ヤード弱とすると、約10ヤードぐらい飛距離は落ちましたか。でも、球筋はよくて、安定感はバッチリ。打つほどに「これは、使えるぞ!」という感覚になっていきましたね。

 じゃあ、どういう場面でこれを使うか?

 ずばり、スプーンの代わりがいいでしょう。私の場合、もともとスプーンはティーショットでしか使いません。フェアウェーの狭いコースや、トリッキーなホールで「慎重に打たなければいけないな」という場面で、ドライバーではなく、スプーンを登場させます。

 その際、ちゃんと打てたときにはいい球が出て、とても心強い武器になりますが、唯一難点があります。ときどき、ボールの頭を打って、チョロしたりするのです。スプーンの場合、「これが、たまにあるからなぁ〜」と思った矢先の、短尺ドライバーです。

 ヘッドはドライバーですから、スプーンの倍以上の面積があります。これだけフェース面が広くて、ティーアップして打てるなら、チョロはまずないでしょう。私がもし42インチの短尺ドライバーを手にしたら、迷わずにスプーンに代えて、キャディーバッグに入れるでしょうね。

 ではなぜ、短尺ドライバーがいいのでしょうか。

 最近は、クラブの中でドライバーだけが群を抜いて長く、他のクラブとのバランスが取れない状況になっています。それだけ偏っていると、特にアマチュアはその扱いに難儀しますが、短尺ドライバーであれば、他のクラブとのスイングバランスも取りやすくなるのです。

 しかしながら、あまり飛ばなくて、それほど上手でない方ほど、バランスを取るのが難しい長いクラブを持ちたがる傾向があります。そこは、ぜひ逆転の発想で、短尺のクラブを試してほしいものです。

 以前、レッスンを受けたとき、先生に「理想のクラブの長さは自分の肘まで」と習いました。直立して、「小さく前へならえ」をしてみてください。肘を曲げて、両手を前に出すことです。そのときの肘から地面までの長さが、自分の打てる最大のパフォーマンスクラブとのことでした。

 それで実際、自分の肘までの長さに最も近いクラブは何だったのか。いろいろとあてがってみると、スプーンが合致しました。結局、それ以上に長いドライバーは、やはり扱うのが難しくなるわけです。

 確かにクラブは長ければ飛びますが、それだけミスをしたり、曲がったりすることも多くなります。しかもアマチュアの場合、せっかく長いクラブで打っても、腕が縮こまって最大飛距離の恩恵に預かりにくいのです。

 本来、スイングアークと言われる「肩の付け根からクラブヘッドまでの距離」が大きければ、それだけ飛距離が出ます。しかし、腕が萎縮してしまっては、意味がないのです。

 さて、我々が現実的に短尺ドライバーを使用する際には、どんな心づもりが必要なのか。それは、飛距離に対する”諦め”の境地です。

「曲がらずに200ヤード飛べば、幸せ」

 このひと言に尽きます。

 だって、飛ばそうと思ったら、かねてから愛用している”エースドライバー”を使えばいいのですから。短尺ドライバーは、飛距離より方向性重視のときの、まさしくスプーンの代用と思ってください。


飛距離勝負より、安定感を高めたほうがいいと思いませんか? ちなみに、短尺ドライバーを試打したとき、飛ばし屋仕様の短尺ドライバーもありましたが、それは重くて、ぜんぜんダメでした。むしろ、ついでに置いてあった女子用の短尺ドライバーのほうが楽に振れて、いい感じでした。たぶん、200ヤードぐらいの飛距離だったでしょうか。それでも、フェアウェーがキープできれば、御の字です。

 短尺クラブを探すのは面倒だと思われる方は、自分のクラブを指1本分でいいから、短く持って打ってみましょう。私は常にそうしています。ミート率というか、ナイスショットの確率がまったく違ってくると思いますよ。

 そんな”ひとり短尺”モードで打ってみて、もしも好感触を得たのなら、短尺クラブ探しの旅をしてみる。それもいいんじゃないでしょうか。

 ぜひ、お試しあれ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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