火星探査計画「エクソマーズ」の無人探査機トレース・ガス・オービター(TGO)が捉えた火星(2016年10月16日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】欧州宇宙機関(ESA)がロシアと協力して進めている火星探査計画「エクソマーズ(ExoMars)」で、生命の痕跡を回収する任務を担う移動探査車の2021年の着陸予定地について、科学者チームは29日、その最終候補2か所を選定したと発表した。

 仏オルレアン(Orleans)にある分子生物物理学センター(Center for Molecular Biophysics)の研究責任者、フランセス・ウェスタール(Frances Westhall)氏は、記者会見で「激しい議論の末、オキシア平原(Oxia Planum)とマウルス峡谷 (Mawrth Vallis) の2か所が選出された」と発表した。

 2020年の打ち上げの数か月前までに下される予定の最終決定をめぐっては、いくつかの点で、科学者と技術者との間で意見の対立が起きるに違いない。一方の着陸候補地は、地質学的な変化により富んでおり、もう一方は岩が少なく、探査車が移動しやすいからだ。

 だが、どちらの場所にも、粘土が豊富にある。これにより、これらの場所は「過去の生命の痕跡を含んでいる可能性のある」有望な環境と考えられると、ウェスタール氏は説明。「粘土が好ましい理由は、有機物を吸着して保持する性質があるからだ」と付け加えた。

 放射線が降り注ぐ火星表面の不毛地帯に、生命体が存在する可能性は低い。だが、火星大気中に含まれるメタンの痕跡は、かつて火星の地下で何らかの生命体、おそらくは単細胞の微生物が活動していた可能性があることを示唆している。

 数十億ドル(数千億円)規模のエクソマーズ計画では、火星にまだ水が存在した、少なくとも36億年前の太古の昔から残る生命の痕跡を探査する予定だ。

 ドリル、車輪や脚などを装備した、小型車ほどの大きさの移動探査車は、6か月の探査期間中に8回の掘削を行うように設計されており、その過程で合計約12キロを走行する。

■選ばれるのはどちらか

 掘削は、深さ2メートルを2回、深さ1.5メートルを6回行う。掘削した土壌サンプルは、過去の生命の痕跡を探すために、探査車の搭載機器で分析する。

 最終候補の着陸地2か所は、探査車のパラシュートが適切に開くための時間を確保するため、隕石孔(クレーター)のある低高度地域に位置している。

 2段階構成のエクソマーズ計画の、2016年10月半ばに実施された第1段階では、母船の無人周回機の火星軌道投入には成功したものの、2020年の第2段階で投入が予定されている着陸探査車の試行実験の役割を担っていた着陸機は、母船から分離された後、火星表面に墜落した。

 では、オキシア平原とマゥルス峡谷のどちらが選ばれるだろうか。

「技術者チームと科学者チームの間では、綱引きが常に行われている。なぜなら、科学者はいろいろと興味を引かれるものがある場所に行きたいと考え、技術者は通常、それより安全な着陸の方に関心があるからだ」と、ウェスタール氏は冗談交じりに話した。
【翻訳編集】AFPBB News