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By Robin Zebrowski

人工知能やロボットの発達により、「人間の仕事が奪われるのではないか」という議論が度々起こっています。そんな中、2016年に経済協力開発機構(OECD)は「ロボットが人間の仕事を奪う事態は起こりそうにない」という調査結果を発表しましたが、新しく「ロボットが人間の仕事を奪っていく」ことを如実に示す調査結果が公表されています。

Robots and Jobs: Evidence from US Labor Markets

http://www.nber.org/papers/w23285

Actually, Steve Mnuchin, Robots Have Already Affected the U.S. Labor Market - MIT Technology Review

https://www.technologyreview.com/s/604005/actually-steve-mnuchin-robots-have-already-affected-the-us-labor-market/



アメリカのスティーブ・ミンチン財務長官は、「機械による作業の自動化はアメリカの労働者に取って代わるものではない」「(自動化による影響は)50年から100以上先の話だ」と、Axiosによるインタビューの中で語りました。工場や倉庫など、既に機械による自動化が進んでいる分野も多くありますが、これまでは自動化によりどれくらい雇用が影響を受けるのかがわかる詳細な数値などははじき出されていませんでした。しかし、ミンチン財務長官の見通しが甘いものであり、既に自動化の波はアメリカの労働人口に影響を与えていることが最新の調査でわかりました。

アメリカの国家経済研究局が労働市場におけるロボットの影響について分析し、機械による自動化の波が失業や賃金にどのような影響を与えているのかを示す信頼できるデータを公表しました。調査を行ったのはマサチューセッツ工科大学のDaron Acemoglu教授とボストン大学のPascual Restrepo教授で、1990年から2007年までの間に増加した工業用ロボットが労働市場にどのような影響を及ぼしたのかを調査しています。この18年間でアメリカでは工業用ロボットが増加し、なんと67万人分の雇用が失われたそうです。最も大きな影響を受けたのは製造業とのこと。



By Kitmondo Marketplace

分析ではグローバル化や人口の変化などの影響を考慮。その結果、工業用ロボットにより1000人の労働者あたり5.6人分雇用が減少しており、賃金は約0.5%削減されていることが明らかになっています。これらの数値は大都市以外の特定の地域ではさらに悪化しているとのこと。

しかし、最も重要なのはこれらがすべて過去の出来事であるという点。調査期間である1990年から2007年は、現在と比べればはるかに工業用ロボットの数も少なく、データから将来の雇用減少や賃金低下を正確に予測することは困難。しかし、今後よりいっそう繁栄するであろうロボット技術により、雇用と賃金が悪影響を受けるであろうことは明らかです。問題なのは、政治家たちがこういった問題に対処する「準備がまったくできていないこと」であると、Acemoglu教授は語っています。