昨シーズン、世界記録を2度更新するなど圧倒的な強さを見せた羽生結弦。しかし今シーズンは、国内外のライバルが台頭し、熾烈な争いが続いている。

 間もなく開幕する、世界フィギュアアスケート選手権でも熱戦が予想されるが、羽生自身はこの状況に「感謝している」と語る。フジテレビ・内田嶺衣奈アナウンサーも注目する、羽生へのライバルからの刺激とは。

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 今シーズンの世界選手権は、2018年に開催される平昌五輪の出場枠取りがかかっています。そのため、いつもより重要度が増す大会となります。上位ふたりの順位合計が「13」以内であれば、前回のソチ五輪と同じ「3枠」を確保できるわけですが、男子日本代表の3選手がいつも通りの力を発揮すれば、まず問題はないと思います。


オーサーコーチ(左)の指導のもと、進化を続ける羽生(右) photo by Noto Sunao 羽生選手にとっては、2月の四大陸選手権で2位となった悔しさを晴らす舞台にもなります。平昌五輪のプレ大会として行なわれた同大会では、アメリカのネイサン・チェン選手が優勝。羽生選手は、ショートプログラム(SP)3位で迎えたフリーで、全体1位の206.67点を出して追い上げましたが、総合得点でわずかに及びませんでした。

 トップを争ったふたりの戦いは、フリーに向けた最終グループの公式練習の時から熱く盛り上がっていました。他の選手が練習を切り上げるなか、羽生選手とチェン選手のふたりが最後まで残って、時間いっぱいまでジャンプの練習をしていました。

 羽生選手は、ソチ五輪をはじめ、世界選手権、グランプリファイナル、全日本選手権など、数々のタイトルを獲得してきましたが、四大陸選手権だけはまだ優勝したことがありません。「今年こそは四大陸のタイトルを獲りたい」と燃えていたので、フリーを終えて結果が出た時は本当に悔しそうでした。

 そんな羽生選手に「It’s OK!」と声をかけていたブライアン・オーサーコーチの姿が印象に残りました。今シーズンは世界選手権が残っていますし、羽生選手は「全部勝ちたい」という気持ちが強いようですが、ピークのもっていきどころを、いかに平昌五輪に合わせるかということもやはり重要です。

 平昌五輪に向けて、本番と同じ会場の「江陵アイスアリーナ」の氷の感触をつかむこともできた羽生選手。メインリンクとプラクティスリンクの氷の質が少し違うため、プラクティスリンクに慣れすぎないよう注意は必要ですが、滑りにくさは感じなかったようです。


photo by Murakami Shogo 平昌五輪への準備という点でも、世界選手権で4回転サルコウを確実に決められるかどうかに注目しています。四大陸ではSPで4回転サルコウからのコンビネーションを失敗してしまい、フリー前の公式練習では、ジャンプと軌道の確認を重点的にやっていました。

 結局、四大陸ではフリーでも4回転サルコウを成功できず、それが最終順位に影響してしまいました。それでも、演技構成点では羽生選手が優勝したネイサン・チェン選手を上回っていましたし、4回転サルコウの確率がさらに上がっていけば、3年ぶりの世界選手権制覇が見えてくるはずです。

 また、チェン選手ら外国人だけでなく、同じ日本人にも宇野昌磨選手という成長著しい若い世代が現れたことは、羽生選手にとって刺激になっていると思います。羽生選手は、宇野選手のことをすごく気にかけていて、四大陸ではSPの際、宇野選手の得点発表のモニターを見に行っていました。


 そのSPで初の100点超えを果たした宇野選手がインタビュールームに来た時には、羽生選手は歩み寄って「おめでとう」と祝福。宇野選手について羽生選手も頼もしさを感じたでしょうし、自分も負けられないという思いが強くなったのではないでしょうか。

 17歳のチェン選手、19歳の宇野選手ら若い世代の躍進が話題になっていますが、羽生選手もまだ22歳。ご本人も「僕もまだ若いので」とよくコメントしているように、26歳のパトリック・チャン選手(カナダ)、25歳のハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)など、上の世代にも強力なライバルがいます。

 郄橋大輔さんをはじめ、フィギュア関係者の方たちは「羽生選手は追い込まれた時にとんでもない力を発揮する」と口を揃えます。羽生選手自身、「これだけハイレベルになった戦いはすごく楽しい。感謝している」と発言していました。

 羽生選手は、ライバルたちの活躍を見て、「もっといい演技を」という気持ちになっていると思います。間もなく開幕する世界フィギュア、その先の平昌五輪まで、羽生選手がどんな進化をみせてくれるのか、とても楽しみです。

■世界フィギュアスケート選手権2017 
男子SP   3月30日(木) 夜9時〜夜11時47分
男子フリー  4月1日(土)夕方5時30分〜夜9時15分

フジテレビ系列で生放送
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【プロフィール】
内田嶺衣奈(うちだ・れいな)
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東京都出身。フジテレビアナウンサー。2013年入社。担当番組は、『みんなのニュース』(毎週月〜金曜16時50分〜)ほか、バラエティーや各スポーツ中継など。

フィギュアスケート特集号
『羽生結弦 平昌への道 ~Road to Pyeong Chang』


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