機械学習などのソフトウェア技術によって、従来とは比較にならないほどの学習ペースで人工知能(AI)技術が進化しています、ゼネラル・エレクトリック(GE)のソフトウェア研究部門担当副社長のコリン・パリス氏がPCMagのインタビューで、AIの進化によって人間の仕事がどう変わるのかについて自身の見解を明らかにしています。

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主にビッグデータを解析するプロジェクトを率いるパリス氏は、40年以上続けたジェットエンジン事業、20年以上の風力発電事業などで蓄積したデータを分析して、いつメンテナンスを行うのが最適なのかを調べ、最小のコストで最大の能率や安全性を引き出そうとしています。その中で、データから特定のパターンを見いだす機械学習技術を活用しているとのこと。

GEでは機械学習に加えて「デジタルツイン」と呼ばれる技法を導入しています。デジタルツインは大量のセンサーから得られる大量のデータをリアルタイムで入力することで、製造現場という現実世界の出来事をデジタル世界に再現しシミュレーションの精度を高めるという手法で、ビッグデータを入力データに活用するシミュレーションと言えます。デジタルツインを使うことで、ジェット機に必要なメンテナンスの時期や機体そのものの寿命、フライトで必要な最小の燃料やコスト、排気ガスの量などを高い精度で予測することができるそうです。



「AIがいつ商業的なメインストリームになると思いますか?」という質問に対してパリス氏は、「今、まさにメインストリームになっています」と答えています。Googleが検索フレーズからユーザーが求める内容を予測したり効果的な広告を出したり、Amazonがユーザーの好みに合った商品をオススメすることなどはAIを活用した技術であり、すでにAIは現実のサービスに導入されているというのがその理由です。

AIが人間に取って代わることに対して疑心暗鬼を感じている多くの人に対しては、「海底から石油を掘り出す石油リグに錆(さび)がないかを確かめるという作業は、地上から60メートルの高さに組んだ巨大な足場から人をロープでつり下げて行っていました。強風にあおられることもある危険な点検作業ですが、今ではドローンが代替しています。これはカメラの映像を分析して錆やダメージがないかを確かめられる自動システムで、もはや人間は危険な作業を行う必要はありません」と述べ、危険・汚い・きついといういわゆる「3K」のような作業や、単調で退屈な仕事などをAIが代替することは求められているとパリス氏は機械が人間に取って代わる分野があると述べています。



その上で、今後の新しい技術やサービスの到来を予測することはできないため、AIの代替の脅威を正確に判断することは難しいが、例えば人とのコミュニケーションが求められる分野など、機械では代替できない仕事は多く、これらの分野では人間が働きやすくするために機械が人間を補助することが求められるとパリス氏は考えており、人間と機械が共同で働く形態が模索されると述べています。

「機械学習は自動運転カーを安全にできるのか?」という質問に対しては、「そう思います」とパリス氏は肯定的な見解を持っています。パリス氏によると、テスラのEVは各ドライバーから2016年にのべ13億マイル(約21億キロメートル)もの走行距離分のデータを収集しているとのこと。少年が道路に投げ込んだボールや犬が自動車の前を横切ろうとすると人間がブレーキを踏んで自動車を止める、という事実からEVはこのような状況では危険回避のために停止するべきことを学んでいるそうで、大量のデータを収集することで人間とは比べものにならない学習速度で自動運転カーの安全性は高まっているというわけです。

「人間にできてマシンにできないこととは何か?」という質問に対しては、自動運転カーを例にパリス氏は説明しています。「犬を散歩している車いすの人」を発見したGoogleの自動運転カーは、犬を判別することはできましたが、車いすの人が何かを見分けることが出来なかったとのこと。また、自動運転カーはサイクリストが出すハンドサインを理解することができないそうで、このような場面にも、まだまだ人間がマシンをサポートする必要性があると述べています。



いずれにせよ、機械学習のおかげで従来の10倍速で学習ペースが早まっているとパリス氏は考えているそうで、今後の20年間に起こる進化はかつての200年分であり、人はどのように思考するのかという領域までマシンが到達するかもしれないと述べています。