IoTでマンゴーの安定生産も実現可能に?(写真はイメージ)


KDDIがIoTビジネスに力を入れている。これまでKDDIはIoTの前進ともいえる通信モジュール、M2Mで成果を挙げてきた。

IoTは、これまでのモノ同士の通信で完結していたM2Mと違い、センサーが感知した情報を通信によって集積している。膨大な量のデータを分析することで、これまで見えてこなかった情報価値を発見し、新たなアクションにつなぐことを目指す。

そして、クラウドサービスの発達により、M2Mでやり取りを収集したデータを大量に集積し、そのデータを分析することで新たなビジネス価値を創造するIoTが可能に。

しかし、IoTビジネスを1社完結型で始めようとすると、莫大な設備や人事への投資が必要となりハードルが高くなる。投資だけでなく、組込みシステムやセンサー、通信サービス、クラウド、セキュリティなど様々なリソースを適切に組み合わせることが、IoTビジネス実現に必要だ。

IoTビジネスを継続するには、クラウドやネットワークのメンテナンス必須となる。そのためには、継続したサポートの提供やともにビジネスを進めることができる企業と組むことが重要だ。

そこでで取り入れられているのが「エコシステム」の考え方だ。これは、これまで競合だった企業や別分野の企業と協業し、互いの技術を活かしながら、新しいビジネスを生み出し、長期的な会社の成長につながることを指す。これにより、初期投資や人材育成期間も短縮され、素早くビジネスを創造することができる。

KDDIは、IoTビジネスにおいて他社との合弁会社設立や技術協力、実証実験を積極的に行っている。最近の事例を見てみよう。

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宮古島で「LoRaWAN」を活用したマンゴー栽培の実証実験

沖縄セルラー電話、KDDI、スカイディスク、琉球大学は2017年4月より、沖縄・宮古島のマンゴー農場長北ファームで、IoTを活用したマンゴー栽培の実証実験を開始する。

本実証実験は、IoTを活用することで、マンゴーハウス内の異常高温や低温、乾燥、高湿度、日照不足、生育不足といった栽培状況を監視できるほか、マンゴーハウス内の状況に応じてLED補光や二酸化炭素の局所添加で補い、マンゴーの栽生育不良の改善、増収、栽培期間の短縮化を目指す。

また、省電力かつ広域なエリアカバレッジ、低速度を特長とするIoT向け通信技術LPWAネットワークのひとつ「LoRaWAN」を活用することで、様々な場所でのマンゴーハウスにおいて導入がを容易にするため、各社の技術協力により実用化に向けた可能性を検証していく。

沖縄セルラーは植物工場でのノウハウを活用し、日照不足の問題をLEDや反射シートを使って補光するシステムの開発実験を行う。

補光実験の様子


KDDIはLPWAネットワークの運用と、実験で取得したデータを活用するためのプラットフォームを構築する。

ネットワーク構成図


スカイディスクは、「LoRaWAN」に対応したセンサーの提供のほか、マンゴーハウス内の異常高温や低温、乾燥、高湿度、日照不足、などのデータを観測するIoTセンサーデバイス「SkyLogger」を提供する。

IoTセンサーデバイス「SkyLogger」


琉球大学は、光合成のタイミングでの二酸化炭素 (CO2) の局所添加による技術によるマンゴーの栽培の促進向上を目指す。

各社の取り組み


アクセンチュアとアナリティクス活用推進に向けた合弁会社を設立

KDDIとアクセンチュアは、2017年2月27日にデータアナリティクスの活用推進に向けた合弁会社「ARISE analytics」を設立した。

新会社はKDDIの連結子会社として、KDDIグループ向けのアナリティクスサービス開発と提供を主事業とする。今後、通信サービスのみならず、「auスマートパスプレミアム」や「Wowma!」、「au WALLET Market」などのEコマース、「au WALLET プリペイドカード」や「au WALLET クレジットカード」などの金融を含む付加価値サービスにおける体験価値向上を図る。

また、インターネット広告やIoTなどの事業領域で、KDDIはパートナー企業が有するデータの分析機能を提供するとともに、革新的なデータ利活用の取り組みを提案していく。

KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は、「通信ビジネスにおいては、端末・料金・ネットワークの同質化が進む中、お客さまに選んでいただける企業となるため、当社は『お客さま視点』と『変革』をキーワードに、『お客さま体験価値』を提供するビジネスへの変革を目指しています」と語る。

アクセンチュア代表取締役社長の江川昌史氏は、「IoT時代を迎え、通信業界を取り巻く事業環境が大きく変化する中、アナリティクスによって生み出される科学的根拠をビジネスに組み込み、デジタルを活用した顧客との新たな接点を創出することは、持続的な成長を実現するために欠かすことができません」とし、新会社がKDDIグループのデータ利活用の中核として、アクセンチュアが「アナリティクス領域の高度な知見や経験、世界先端の技術や方法論を最大限に活用する」と述べている。

箱根山間部でIoTを活用した遠隔水道検診の技術協力

Sensus, a Xylem brand (以下、センサス)、ミライト・テクノロジーズ、KDDIの3社は、280MHz帯無線ネットワーク「FlexNet」によるIoTを活用した遠隔水道検針に関する実証実験を2017年2月28日より開始。2018年1月まで継続する。

「FlexNet」と接続した水道スマートメーター


センサスは水道スマートメーターと「FlexNet」無線設備、広域無線ネットワークシステム等の提供し、ミライト・テクノロジーズは無線設備等の設計、構築する。KDDIは水道スマートメーターから収集した計測データの可視化、提供する技術協力を行う。

検針者が各住戸に訪問して目視で水流量を確認する代わりに、IoTを活用した水道スマートメーターでは無線ネットワークを活用して遠隔で検針が可能となる。「FlexNet」と組み合わせることで検針業務の効率化の他に、今後は、漏水検知や高齢者への見守り支援サービスへの応用などでの活用が広がる可能性を秘めている。

通信が届きにくいと予想される箱根山間部の水道スマートメーターから、280MHz帯無線ネットワーク「FlexNet」を介して水流量などの計測データを遠隔収集し、可視化された計測結果をJFEエンジニアリングに提供する。また、計測結果をもとに従来のアナログメーターとの精度比較や漏水検知の検証などの技術協力も合わせて行う予定だ。

筆者:IoT Today