てるみくらぶのHPより。旅行代金について「返金を実施することはできません」と記載されている。

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 3月27日、格安ツアーで有名な旅行会社「てるみくらぶ」が資金繰り悪化により破産した。帝国データバンクによると、負債額は約151億円に上り、旅行業界では過去4番目に大きい大型倒産となった。

 この影響により、海外渡航中だったてるみくらぶのツアー客約2500人のなかには、滞在予定のホテルに代金が支払われておらず宿泊を断られたり、航空券が発券できず、帰国できないといった人も多くみられた。

 また、これから出発予定のツアーに申し込み、すでに旅行代金を支払っている人もいるが、倒産により当該ツアーは中止。利用客からは「支払ったお金はどうなるのか」など不安の声が上がっているのだ。

 そこで、てるみくらぶが企画する格安ツアーの具体的な内容について調べてみた。

●台北ツアーは最安6.98万円

 3月21日付読売新聞に掲載されたてるみくらぶの広告には、「【成田発着】ビジネスクラスで行く! 『台北101が見える部屋』グランドハイアット台北 グランドクラブビューに泊まる! 台北4日間」というツアーが6.98万円〜8.98万円とある。

 内容は、ツアー1日目の14〜16時に成田空港を発ち、16時30分〜18時30分に台北に到着。その後はホテル「グランドハイアット台北」に向かう。2日目は台北市内を観光するプランと自由行動プランの選択制。3日目は終日自由行動となり、4日目は自由行動ののち、13〜16時に台北を出発し、17時〜21時に成田空港到着というスケジュールだ。

 利用する航空会社はキャセイパシフィック航空、エバー航空、チャイナエアラインのいずれかで、こちらから指定することはできない。また、添乗員はつかず、現地係員がガイド役を務めるとのこと。ホテルの部屋はキングベッド1台の予定で、ツインルームの希望は受け付けていない。その他、オプション料金を支払うことでツアーのアレンジが可能らしいが、目玉である「グランドハイアット台北」以外は徹底的に無駄を省いているような印象を受ける。

 ちなみに、格安旅行会社最大手のH.I.S.にも「【成田発着】日本航空 ビジネスクラスで行く 台北3日間 グランドハイアット台北<グランドデラックス>に滞在」という類似ツアーがあるが、こちらの金額は17.5〜29.5万円。使用する航空会社に違いがあるのだろうが、それにしても、てるみくらぶが異常に安いとわかるだろう。

 このほかにも、グアムへの4泊5日旅行が3.98万円〜、韓国への1泊2日旅行が1.98万円〜など(どちらもフリープラン)、いずれも他社の類似ツアーと比べても、同等もしくは1万円以上安いプランを数多く企画していた。

●利用者への返金は支払額のたった1%

 次に、てるみくらぶの倒産騒動について、旅行記事なども数多く制作してきた編集プロダクション代表は語る。

「てるみくらぶの負債額は約151億円にも上ると発表されていますが、このうちのおよそ3分の2に当たる約99億円は利用客への負債だといいます。このうち実際に利用客へ返金されるのはその1%程度になる見通し。旅行業法には利用客に代金を返金する弁済業務保証金制度がありますが、今回のてるみくらぶのケースではその額は1億2000万円ほどまでだとみられています。約99億円の利用客の内訳は9万人程度で、仮に1億2000万円を9万人で割ったとすると、1人当たり約1333円しか返金されない計算です。

 同社の山田千賀子社長は会見で『詐欺を働くとか、毛頭考えておりません。お客さまに安くていい商品をと思ってやってきました』と語っていましたが、被害に遭った利用客がこの言葉を信じることなどできないでしょう」

 利用客のなかには、長い間積み立ててきたお金を使って、「ようやく海外に行ける」と考えていた人も多いだろう。そんな人たちにとって、今回の騒動は詐欺以外の何物でもない。

「競合するH.I.S.が行っている『初夢フェア』などのキャンペーンもかなり格安のツアー価格になっています。ただし、同社の添乗員らも証言しているとおり、こうした格安キャンペーンは、ツアー単体でみると赤字になることも少なくありません。大手であるH.I.S.だからこそのスケールメリットで、なんとか帳尻を合わせている部分もあるし、ツアーの赤字分を“広告費”ととらえているから実現できる破格の金額です。そういった格安ツアーに参加して利用客が満足してくれれば、同社のリピーターになってくれるので、新規顧客獲得のための施策という意味合いもあります。こうしたモデルを、てるみくらぶクラスの規模の旅行会社が真似をするには、無理があったといえるのではないでしょうか」(同)

 てるみくらぶの倒産は、他の旅行会社にとっても決して他人事ではないだろう。今後旅行を計画する際には、「格安」という甘言に惑わされず、安いなりの理由を利用者側がしっかりと理解する必要があるのかもしれない。
(文=編集部)