ここに及んで競争力のある半導体事業の売却もやむなしと思われる東芝。しかしそれには、日本に与えるインパクトの大きさをよくよく考えるべきだ Photo by Takahisa Suzuki

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もはや半導体売却もやむなし?
頼みの綱は鴻海精密工業か

 東芝の米ウェスティングハウス社(以下、WH社)破産申請と半導体売却が大詰めを迎えている。3月末には債務超過が見込まれる東芝にとって、この2つの意思決定は急務ではあるが、チャプター11(連邦倒産法第11章に基く倒産処理手続き)の決定はあくまでもアメリカの裁判所が下すものであり、予断は許せない。

 また、半導体売却に関しても、「先送り名人」の東芝なだけに、まさかとは思うが、「今日、明日で決まりませんでした」などということがあるかもしれない。

 今述べたように、チャプター11はそもそも裁判所という相手がある話であり、東芝の意思決定だけでどうこうできない事情もあるが、半導体売却に関しては複数のオファーがあるようで、これは東芝だけで決められることではある。しかし、東芝の半導体ビジネスにとって(必ずしも東芝本体にとってではなく)、いい解決策が簡単に見つかるかというと、そうではないだろう。

 そもそも一連の東芝の問題は、原発という大きなリスクを1社ではどうにもならないほど大きな規模で抱えてしまったビジネスに対する見通しの甘さ、歴史と伝統と技術がある「大東芝」が潰れることはないだろうという慢心、その慢心がもたらした直近の問題点を取り繕い本質的な解決を後回しにしてきた経営体質にある。

 東芝にとって現在一番のリスク要因は原発であり、かといって安全保障上も福島の廃炉事業という観点からも、簡単にやめることのできないビジネスが原発である。筆者はかねてから、東芝は原子力事業を切り離し、公的なセクターで運営すべきであり、優良事業の切り売りはすべきでないと主張してきた。

 その考えは今も変わらないが、ことここに至っては半導体事業売却もやむを得ないと考えている。

 最大の理由は差し迫った債務超過であるが、これは消極的な理由だ。東芝が今回売却するフラッシュメモリ事業は、日本メーカーがまだ半導体の領域で国際競争についていける数少ない領域であり、そこで勝ち抜くためには素早い経営判断と多額の設備投資が必要となるが、現在の東芝にはそのどちらもが欠けているからだ。だからこそ、半導体事業を売却すべきなのだ。

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