飲酒は認知症の発症リスクになることが知られているが、少量飲酒は予防に働くらしい。中国海洋大学(山東省)の研究チームからの報告。

 研究者らは、飲酒量と認知症発症との関係を検討した複数の試験結果を体系立てて再解析。全認知症4586症例を含む7万3330人、11試験のデータと、アルツハイマー型認知症1267例を含む5万2715人、5試験のデータ、そして血管性認知症542例を含む4万9535人、4試験のデータを用いた。

 解析の結果、全認知症と大量飲酒との間には、以前から指摘されているように発症リスクが増加する傾向が認められた。その一方で、少量飲酒では全認知症の発症リスクが低下していたのだ。

 具体的にはリスク低下に働くアルコール摂取量(純アルコール換算)は1日あたり12.5グラムまで。アルコール度数5%のビールなら350ミリリットル缶の8分目といったところ。ロング缶なら2人で半分こするといい。アルコール度数15度の日本酒なら0.5合が1日の上限である。

 また、最もリスク低下効果が示されたのは6グラム/日だった。この場合、ビールは135ミリリットル缶1本でおしまい。日本酒ならぐい飲み1、2杯ほどである。

 逆に1日あたりのアルコール摂取量が38グラムを超えると、全認知症発症リスクが明らかに上昇。また、飲酒の影響は60歳未満の中高年層で一層大きかった。

 さて、同じような調査研究は、欧米でも行われている。各国でおおむね一致しているのは、1日のアルコール摂取量が12グラム以上だと認知症の発症リスクが上昇すること。逆に1日5〜10グラム程度の摂取はお酒を全く飲まない人よりリスクが低下する点だ。試験によってはリスクが半減するとの報告もある。とはいえ、下戸の方は無理に飲酒する必要はありません。

 さて、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒(アルコール摂取量)」を1日あたり20グラムとしている。しかし認知症予防の観点からすれば、その半分でも多い。

 今日の一杯が明日の認知機能に影響することをお忘れなく。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)