29日、英国のメイ首相は、欧州連合(EU)に離脱を通知した。離脱条件や新たな貿易協定を協議する原則2年間の交渉が始まるが、英・EU間には対立点も多く、長期化は避けられない。資料写真。

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2017年3月29日、英国のメイ首相は、欧州連合(EU)に離脱を通知した。離脱条件や新たな貿易協定を協議する原則2年間の交渉が始まるが、英・EU間には対立点も多く難航は必至で、長期化は避けられない。

4月29日にEU加盟国首脳会議が開催され、「ガイドライン」について討議。合意すればバルニエ主任交渉官(元仏外相)がガイドラインに基づいて英国との交渉を開始する。同会議の開催日はフランス大統領選挙の第一回投票の6日後。投票に影響を及ぼさないように、5月7日の第2回投票の前の交渉スタートは避けるとみられる。

英国EU間の合意は、離脱協定が英国議会やEU議会で十分審議され、リスボン条約50条で交渉期間は原則2年と規定されている。2年以内に承認されるためには、2018年10月ごろまでの成立が必要となる。メイ首相は英国議会が協定を承認しなくても英国は離脱することが可能だと主張しているが、EU議会の批准には少なくとも全人口の60%を占める国々の支持が必要である。

規定では2年後の19年3月29日に、2年間の交渉期間は終了するが、加盟27カ国すべてが合意すれば、その延長が可能。延長できなければEU条約は英国に適用されなくなり、英国はEUから自動的に離脱することになり、将来再加盟を希望する場合は、通常の加盟手続きが必要となる。

交渉のスタートは英国の対EU債務(いわゆる“離婚料”)と英国とEU市民の権利にいついての交渉が中心となる。メイ首相は経済取引や貿易分野を優先的に議論したいとしているが、“離婚料”に大きくかかわる。EUは570億ポンド(約8兆円)と計算し、議論するとしているが、大きな譲歩は見込めない。この債務問題が決着するまでは、EUと英国間の自由貿易協定に関する交渉は始まらないとみられている。このため2年間で決着するとは考えられない。

規約では英国がEUの離脱が完了するまで、英国が他の国との貿易協定を締結することはできない。EU首脳部と英国政府の双方は、緊密な関係の維持が望ましいとの点で一致しているが、2年の期限内に合意に達するのは困難視されている。(八牧浩行)