『J☆Dee'Z LIVE2017 -This is “Answer”-』のワンシーン。

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「何年か前にワンマンをしたときには、駅前でビラを配って宣伝してもお客さんが5人しか来ないときもあった。でも今は、NYへ武者修行に行ったり、ワンマンがソールドアウトしたり、昔の自分たちじゃ考えられないところに来ている」 (MOMOKA)

 彼女たちはいま、ここまで素晴らしいグルーヴを生むことができるようになったのかーーami、MOMOKA、NonoによるJ☆Dee'Zが3月20日に開催した、約1年半ぶりのワンマンライブ『J☆Dee'Z LIVE2017 -This is “Answer”-』は、そう驚かざるを得ないほど、彼女たちの自信と確信に満ち溢れた一夜だった。

 会場である代官山LOOPのチケットはソールドアウト。会場には以前に比べて女性ファンが多く訪れており、ここ1〜2年の活動がより幅広い層へ届いていることを実感させられた。そしてステージ上にはバンドセットが置かれており、既存曲がバンドサウンドでどこまでダイナミックに響くのかと楽しみにしていたところ、Chicのようなギターカッティングと、3人のコーラスが重なり、次第にグルーヴが巻き起こっていく「Dream Arch」からライブはスタート。以前のインタビューでも彼女たちが「転機」と話したのが「Dream Arch」で、この曲をリリースした2016年8月以降、J☆Dee'Zはライブにおいて生歌とハモりを積極的に使うようになった。2ndシングル以降はポップスに振り切っていた楽曲たちも、次第にディスコ・ファンクをはじめとした、グルーヴに重きを置くブラックミュージックへと接近していく。その一つ目の結実といえるのがこの「Dream Arch」なのだが、この日は本人たちの気合も十分だったことも相まってか、本格的なR&Bグループかと思わせるほどの声量で歌い上げられたことに驚いた。

 そこからは、彼女たちが本来得意とするダンスパフォーマンスを存分に発揮した、デビューシングル収録のパーティーチューン「Let the music flow」、Shiggy Jr.あたりのアーティストにも共通する音作りが特徴的な“2010年代のディスコミュージック”の「Listen to the music」が続く。このパートで披露された楽曲は、彼女たちのディスコグラフィにおいても特にバンドサウンドとの相性が良く、J☆Dee'Zとバンドが生み出すグルーヴで観客たちが享楽的に踊る光景は、後ろで見ていて気持ちの良いものだった。80sポップス〜歌謡曲的ともいえるアーバンな音色とギターカッティングが心地よい「JINGLE LOVE」でさらにバンドとの親和性を見せつけると、ここから力強さとキュートさが同居するポップス「Chocolate」、5thシングル『Answer』収録のカップリング曲で、ライブ初披露となる「Boy friend」と、Nonoの振り付けた楽曲を連続で披露。バンドによるセッションのあと、各自がソロパートを力強く踊ってみせた。ダンスの経験値が10代中盤と思えないほど高い彼女たちにとって、これだけ高いパフォーマンス力を身につけることや、メンバー自身がコレオグラフを手がけることになるのは必然だったのかもしれないが、これがあと2〜3年経ったらと考えると本当に末恐ろしくなる。

 ライブ中盤では、マイクスタンドを使った「Party Up」のあと、デビュー曲「Beasty Girls」を久しぶりにパフォーマンス。デビュー当初に見たときは、楽曲のポテンシャルに彼女たちが引っ張られているような印象を受けたが、この日は楽曲をしっかり自分たちのものにし、迫力のあるバンドサウンドの上で難なく歌い踊ってみせた。MCではamiが『B.LEAGUE』のハーフタイムショーでの歌唱が決まったことを伝え、よりジャジーになった「What time is it」をスペシャルバージョンで歌い踊る一幕も。

 ここで、Nonoが中学校を卒業したことを発表し、「私はいま15歳で、もっと大人になったとき、今の自分へ伝えたいことってあると思います。今の私がJ☆Dee'Zに入る前の私に一言かけるとしたら『まだ私、J☆Dee'Zで頑張ってるよ』って伝えたい」と目を潤ませながら語り、3人でアンジェラ・アキの「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」をカバー。続けて『Dream Arch』以降の快進撃をさらに前へと進めた、強度の高いメロディアスなポップス「MORNING HOPE」で、会場の空気を切ないものに変えると、冒頭のMCがあったのち、MOMOKAから「この間、スタッフさんから『お前らは武道館に本気で行きたいのか?』と聞かれて、100%の気持ちで『はい』と言えなかった。でも、今日のライブでみんなの笑顔を見て、いまなら100%の気持ちで『はい!』と言える気がします」と語り、この日配布したシリアル入りのチャームについて「これを持っている方は、私たちが武道館ライブをすることになったら、一番良い席で見てもらえるように招待します!」と宣言。それに応えるかのように、続く「Answer」の冒頭でファンが一斉に白いペンライトをサプライズで点灯し、3人が涙声で歌うというハイライトが訪れた。

 「Answer」については、先日のコラムやインタビューでも触れたように、欅坂46「サイレントマジョリティー」などを手がけ、2016年のJ-POPシーンを牽引したTAKAHIROが振り付けを担当、Little Glee Monsterの楽曲や清水翔太のアレンジで名を馳せるSoulife(佐々木望はこの日ギターでも参加)が作編曲を手がけるなど盤石の布陣で制作された、彼女たちにとってひとつの到達点ともいえる楽曲。さらにこの曲では、NYでの過酷な武者修行で徹底的にパフォーマンスが磨かれたボディーパーカッションダンスが存分に発揮されている。3人はインタビューでNYでのストリートパフォーマンスについて「路上だったら足を踏む音が聴こえないこともあり、NYでは靴にタンバリンを付けてパフォーマンスしていました」と語っていたが、まさにこの日、3人の足元にはタンバリンが装着され、無音のなかタンバリンの音のみが響くという演出もなされていた。

 そんな感慨深い楽曲のあとは、岡村靖幸「だいすき」のカバーという大ネタのファンクチューンで本編を終え、アンコールでは「DISCO WINNER」がパフォーマンスされる。ここまでセットリストを徹底的にダンスナンバーに振り切っているのは、バンドの、そして3人のポテンシャルが高いことを改めて提示し、本人たちにも自信を付けさせるためなのかもしれない。ダブルアンコールでこの日2度目の披露となった「Answer」を見て、さらに強くそう感じた。

 アンコールでは、9月22日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブを行なうことも発表された。これまでにないスピードで次のワンマンがアナウンスされ、キャパが数段飛ばしで跳ね上がるというのは、それだけ彼女たちの可能性にベットする人たちが多いということだ。そして、今の彼女たちならその向こうに続く景色を見ることができるだろう。バンドセットでこれまでにないグルーヴを生んだJ☆Dee'Zのパフォーマンスを見て、そんな期待を抱かずにはいられなかった。(中村拓海)