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グラフィックボード最大手のNVIDIAは、強力な並列演算性能をもつGPUを機械学習システムに応用して人工知能や自動運転カー、画像認識技術などのさまざまな分野で新技術の開発を行っています。そんな中、NVIDIAは「医療」という巨大市場にディープラーニング技術を武器に切り込んでいます。

Nvidia’s Deep-Learning Chips May Give Medicine a Shot in the Arm - MIT Technology Review

https://www.technologyreview.com/s/603917/nvidias-deep-learning-chips-may-give-medicine-a-shot-in-the-arm/

アメリカ・サンフランシスコで開かれたEmTech Digital conferenceで、NVIDIAの健康マネジメント分野を率いるキンベリー・パウエル氏は、「医療用画像研究で驚くべきほどの需要の急増が見られる」と述べました。NVIDIAは強力なGPUの並列演算性能を活用した画像認識技術の開発を進めてきましたが、中でも医療分野でのディープラーニングを活用した画像認識技術の採用が急拡大しているとのこと。



すでに、Googleのディープラーニング研究チームが目の画像から糖尿病患者を見抜く技術を確立したり、スタンフォード大学の研究チームが皮膚癌の診断を下すディープラーニング技術を科学誌Natureで発表したりと、医療分野でのディープラーニング技術が成果を出し始めていますが、パウエル氏によると、NVIDIAはアメリカの多くの病院に技術者を派遣しており、人工知能を使ったアプリケーションの共同開発が活発に行われているそうです。

NVIDIAのGPUプロセッサは、ディープラーニングに必要な並列演算を高速に処理することができるため、学術研究や産業界でディープラーニングを活用する研究者に用いられています。すでにディープラーニングトレーニング用のアクセラレーター「TESLA P100」、ディープラーニング専用スパコン「DGX-1」、自動運転用の「Drive PX」シリーズなどを販売しており、今後もディープラーニング向けの製品を拡充させる見込みです。パウエル氏は、「NVIDIAのハードウェアによって医師による診断の信頼性を高めたり、専門知識が足りない途上国での医療ケアの水準を大幅に高める可能性がある」と述べ、医療分野におけるNVIDIA製品の有用性を指摘しています。

画像認識に大きな成果を出すディープラーニングは、人間の医師では見抜くことのできないパターンの発見でも大きな威力を見せます。NVIDIAはMayo Clinicの神経放射線専門医のブラッドリー・エリクソン医師と協力して、脳の画像から脳疾患に関係がある遺伝的要因の特定に成功しているとのこと。今後、病院や医学研究センターでますます採用されるだろうという見通しを示しています。



ニューヨーク大学のゲイリー・マーカス教授は「人工知能が最大の影響を与える可能性のある分野は『医学』であり、例えば、癌になる可能性の高いリスク要因をアルゴリズムによって特定できるようになる可能性がある」と述べています。



ディープラーニング技術が医療にもたらす革命的な成果が指摘されていますが、技術的な複雑性がネックになっているとのこと。医師がディープラーニングを活用して医療に活用できるのを助けるために、ディープニューラルネットワークの振る舞いを可視化する新しい手法を生み出すことは、ディープラーニング用のGPUプロセッサを販売するNVIDIAにとっても大きな課題になっているようです。