進化というより「深化」だと評される新型CX-5。目立って大きな変化のないボディで、ユーザーにどれだけインパクトを与えることができるのか。チーフデザイナー・インタビューの後半はボディサイドからインテリアまでを聞きます。

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── 後編はボディサイドからお聞きします。先代とは異なり、キャラクターラインは後へ長く引かれましたが、いっそのことリアからのラインと1本にまとめる案はありませんでしたか?

「トライはしました。ただ、それをやってしまうと味わいを伴わない、単にシンプルなだけの表現になってしまう。それはマツダの考えるシンプルとは異なるんですね」

── ウインドグラフィックの形状に大きな変化は感じませんね

「グラフィックの形自体は大きく変えていません。Aピラーを35ミリ後ろに引いてはいますが、CX-5らしさの継承としてニュアンスは変えなかった。ただ、太さに変化を付けたクロームを使うことでスピード感、抜けのよさを出しています。ウインド外周を囲わず、後端で止めることでよりその効果が期待できます」

── リアについて伺います。ランプは新世代シリースに準じて横長ですが、SUVらしく縦型などの提案はありませんでしたか?

「いえ、そういう検討はなかったですね。まず、直感的に重心が高くなってしまうと思われるし、私たちはマツダ車を群として見せたいので、そういう単独の考え方はしないんですよ」

── リアパネルは、中央を大きくえぐっているのが特徴的ですね

「フロント同様、先代はリアランプ部がツルンと上向きでしたが、やはり彫りの深さをリア全体で出したかった。同時にリアパネルに大きな台形を作り、その延長線がしっかりリアタイヤに荷重を掛けるように表現しました」

── 次にインテリアです。SUVではインパネに重厚感を持たせるのが一般的ですが、新型はセダン系と変わりませんね

「そこはマツダ・ブランドの統一した表現を出しています。要素を減らし、あくまでもドライバーの心地よさを提供するのが目的で、車種による違いは考えていません」

── 特徴的な5角形のエアダクトのモチーフは何でしょうか?

「これは初期スケッチからの案で、5角形というより方向性を示す矢印のイメージですね。矢の先が向かい合うことで、スッと引かれた1本の線を感じ、横方向の表現が出せる。実は矢の位置はかなり悩んだ結果で、この高さがもっとも横への流れが出せるんです」

── 新型はウッドと金属の組み合わせが特徴的に見えます

「硬い素材と柔らかい素材との対比ですね。たとえば、フロントの太いシグネチャーウイングから入った空気が、同じ金属調のエアダクトから室内に入ってくる。その力強さと、ウッドの持つ暖かさとの組み合わせなど。これはドアの内張りも同じですが、コンセプトのリファイン&タフネスにつながる表現なんです」

── 最後に。エモーショナルな表現は他メーカーでも見られますが、代を重ねる度により過激になる傾向があります。では、エモーショナルとシンプルの接点はあり得るのでしょうか?

「はい、その答えはきっとあると考えています。そのひとつの回答が同時期に開発したRX-VISIONなのかもしれません。RX-VISIONは、海外のデザイン・コンテストで石庭のような日本らしさがあると評価されているんですね。であれば、困難であっても、私たちはそれをマツダの独自のデザインとして打ち出したいと考えています」

── 本日はありがとうございました。

シリーズでデザインを統一するのは簡単ですが、そのイメージを持ったまま明快な進化をさせるのは非常に難しい。そこに「大人」という発想を持ち込んだマツダは、かなりいい回答を見つけたのかもしれません。

[お話を伺った方]

マツダ株式会社
デザイン本部 チーフデザイナー
諫山慎一

(インタビュー:すぎもとたかよし)

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