「半分鉛筆」「競馬新聞レポート用紙」…奇妙な文具を売る文具店主に聞く、人気グッズの生み出し方

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 開店するのは夕方17時、「半分鉛筆」「1日100文字したたメモ」といったオリジナル文具を開発、販売するなどユニークな手法で話題の文具店「ぷんぷく堂」。わずか2.5坪ほどの狭小スペースにもかかわらず、なぜここまで注目されるのだろうか? 店主の櫻井有紀さんに話を聞いた。

―――早速ですが、お店をオープンするまでの経緯を教えてください。

櫻井:私も夫も前から自分のお店を持つのが夢だったのですが、子供たちが高校生になって、そろそろ動き出さなきゃと思って始めたのが「ぷんぷく堂」でした。開店時間を遅くしたのは「文具店の夜営業が面白い」という理由もありましたが、単純に当時は本業の仕事があったから。副業で自分のために使える時間が19時以降だったんです。

―――オリジナル文具を作るきっかけは?

櫻井:開店して1年半はまったくお客様も来なくて、寂しい時間を過ごしていました。そんなとき、たまたまご婦人のお客様が入ってきて、売り物の鉛筆を見ていたんです。そしたら「私、最近、鉛筆持たないのよ。ペンケースに入らないから」っておっしゃって、その通りだなって。これでは鉛筆売れないと思ったんです。

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そこで、持ち歩くための鉛筆として考えたのが、オリジナル文具第1弾、通常の半分で、使い切りサイズの「半分鉛筆」です。これが予想以上に好評いただきました。

―――新商品のアイデアはどのように思いつくのでしょうか?

櫻井:オリジナル文具はすべて私がこういうのがあったらいいなと思うものを作っています。自分だけで突っ走っている感じです。

アイデア自体は、頭のなかに引き出しがあって、そこにストックされているイメージです。具体的な商品化の目処がつくまで、なるべくメモは取らないようにしていて、本当にあったらいいものだけが残るようにしています。食事のときにも、夫と「この紙とこのアイデアが結びつかないかなぁ」みたいな話をしていますね(笑)。

―――例えばどんなオリジナル文具があるのですか?

櫻井:例えば「過保護袋」という文具があります。領収書を財布や鞄の中に入れて、ぐちゃぐちゃになってしまう。メモ帳とか通帳とか文庫本がカバンの中でどうしても折れて泣いている。そんなときジーパンのタグで「ウェブテックス」という紙があって、これは絶対に素材として使えると思ったんです。

当初は内職の方にお願いして、制作しようと思ったのですが、「これまで布は縫ったことあるけど紙は(縫ったこと)ない」「糸調子が合わないと困る」と言われて断られてしまったんです。ただ、私自身、15年前からアートイベントで、がま口財布を作っていたこともあり、職業用ミシンを持っていた。それで自作することにしたんです。何度か改良して今の形になりました。

―――他にどんな人気商品があるのでしょうか。

櫻井:「ぷんぷく堂」は一昨年からインスタグラムを始めているのですが、手書きの文章を写真に撮って上げている人が多かったんです。私もそれをやろうと思ったとき、手帳は長方形が多くて、正方形のインスタにアップするのが難しい気がしたんです。そこで考えたのが、表紙がなくて、後ろ紙が厚くて立てて使える「1日100文字したたメモ」。文章を撮影して使えるんです。

―――オリジナル文具を作るうえで気をつけていることは?

櫻井:結局、私と似たような失敗をしている人って多いと思うんです。だから、私は常に紙業屋さんに行って面白い変わった紙はないかを聞いています。今は一般の消費者の方もどんどんプロに近づいて、普通の紙では満足してもらえないんです。そういうとき、「ストーリー」を作るんです。「えー、これってジーパンのタグなんだ」とか。

例えばこの「競馬新聞で作ったレポート用紙」は、「鉛筆にピッタリの紙があるんだけど見る?」って紙業屋さんに教えてもらったんです。競馬新聞ってみなさん赤鉛筆で予想するので、それ用に特別に漉いた紙を使っていて、すごく薄いし、サラサラ書きやすいんです。これってメモ帳にピッタリだなって。だから、「えーこれって競馬新聞なんだ!」って、そういう驚きやストーリーのある素材を探して、文具を作っています。

【ぷんぷく堂】
千葉県市川市八幡5丁目5-6-29。夕方5時から開店する文具店。「半分鉛筆」「競馬新聞レポート用紙」など他店にはないオリジナル文具を取り扱う。http://www.punpukudo.jp/

<取材・文/HBO取材班>