カッコよさとバカバカしさが絶妙にあいまった、電気グルーヴワールド全開なステージ(撮影=Masanori Naruse)

 電気グルーヴが3月25日に、東京・ZeppTokyoでツアー『TROPICAL LOVE TOUR』のツアーファイナル公演をおこなった。約4年ぶりにリリースされたアルバム『TROPICAL LOVE』を引っ提げて、アルバムからの楽曲を中心に、「新幹線」「モノノケダンス」「N.O.」などの人気曲を交えた全22曲を披露。ステージは、最先端のテクノサウンドと映像を巧みに使った演出、そして中学生脳まるだしの(良い意味で)くだらないMCが満載。かっこよさとバカバカしさが絶妙にあいまった、電気グルーヴワールド全開なステージ。会場は野外フェスのような自由で楽しく、ハッピーな空間になった。

みなさん、電気グルーヴです!

ライブのもよう(撮影=Masanori Naruse)

 お揃いのアロハシャツを着てサングラスをかけた2人が登場すると、会場は大歓声に沸いた。冒頭からアルバム曲を一気に4曲。バキバキのシンセベースが鳴り響き、アッパーのビートが炸裂すると、両手を挙げて揺れる観客で、フロアが波を打つようにうねり始めた。スクリーンには豹が走り、チンギス・ハーンがキョンシーのように飛び跳ねる。目にも耳にも初体験の刺激が走り、脳内にはドーパミンが噴出するかのようだった。

 曲間は、全編ノンストップでミックスが施され、次の曲に変わった瞬間の高揚感たるやない。オトしてはアゲて、抜いては差して。終わりと見せかけて、そこからまたもうひと盛り上がりの緩急の付け方が最高。世界を踊らせる技と小粋さに、観客は大歓声をあげて盛り上がる。歓声を受けて石野卓球は、おどけたポーズで返した。

 一方、シルクハットを被ったピエール瀧は、最高のアジテーターとして観客を先導した。ステージを歩き周りながら、観客を指さしたり手を振ったり。前に突きだした両手の平をぐるぐるとゆっくり回す、催眠術をかけるような仕草も見せ、近くの観客は一緒に手をぐるぐるやって盛り上がる。ときには曲に合わせて「みなさん、電気グルーヴです!」と声を上げ、高揚感をさらにかき立てた。

誰もついて来られない。それが、オリジナルってもんでしょ!

ライブのもよう(撮影=Masanori Naruse)

 懐かしい曲もいくつか披露した。「Flashback Disco」では、卓球が「19年前の曲だけど、最新式だぜ!」と叫ぶ。原曲とは違うエクスクルーシブなトラックに観客は大興奮。また、1994年の「N.O.」は、2人がマイクを客席に向けると観客の大合唱に発展。<会場中に“学校ないし家庭もないし♪>と、歌声が響き渡った。さらにアンコールのラストでは、「30年前の曲だけど」と紹介し、電気グルーヴの前身「人生」の楽曲をビルドアップした「半分カメレオン人間」を披露。知ってる人も知らない人も、<人間人間♪><カメレオン♪>のコールアンドレスポンスで盛り上がり、最高の締めくくりとなった。

 MCでは、電気グルーヴ節で会場を爆笑の渦に。ライブ内容とは一転して、しゃべり始めると一気に中学生レベルのくだらなさを放つ。でもこのくだらなさに、笑いが止まらない。この日は、卓球の地獄のほうが天国じゃん説で盛り上がる。「どうせ死ぬなら地獄がいい。天国って花が咲いてるだけじゃん。Wi-Fiも飛んでないし。満足しちゃってるから何もないの。暇じゃん。でも地獄は、毎日がアトラクションなわけ。今日は釜ゆでか〜とか(笑)」と、そんな話が延々。「話が飛びすぎて、誰もついて来られないから」と苦笑いする瀧に、卓球は「誰もついて来られない。それが、オリジナルってもんでしょ!」とキメ顔。

 1975年の細野晴臣の名アルバム『トロピカル・ダンディー』から時代は2周も3周もして、昨今海外ではトロピカルハウスと呼ばれるジャンルが人気を得ているそうだ。そんな流れがあってかなくてか、今ここにきての電気グルーヴの最新作『TROPICAL LOVE』だ。

たとえばフランスの画家ゴーギャンは、南国タヒチに渡って名画を多く遺した。電気グルーヴが向かった南国は、常磐ハワイアンセンター、または熱海だったみたいな。そういう独自のトロピカル観によって生み出された独特の猥雑さ。しかしそれを突き詰めれば、こんなにもかっこよくなるんだよ、ということをとことんやり続けている電気グルーヴの28年だっただろう。それをまざまざと見せつけた、ツアーファイナル。常に斜め上を行く2人の、してやったり顔が目に浮かぶ。

(取材=榑林史章)

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セットリスト

01.人間大統領
02.東京チンギスハーン
03.顔変わっちゃってる。
04.プエルトリコのひとりっ子
05.いちご娘
06.March
07.The Big Shirts
08.Missing Beatz
09.Shamefu
10.新幹線
11.Eine Kleine Nachtmusik
12.モノノケダンス
13.柿の木坂
14.Fallin’ Down
15.Upside Down
16.Flashback Disco
17.Baby's on Fire
18.N.O
19.ユーフォリック
20.トロピカル・ラヴ

ENCORE

EN1.ヴィーナスの丘
EN2.半分カメレオン人間