フジテレビ『ワイドナショー』番組ページより

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 やはりそういうことだったのか......。

 2025年に万博の大阪開催を目指すための誘致委員会「2025 日本万国博覧会誘致委員会」の発足式が27日に東京・経団連ホールで行われた。

 森友問題で渦中の松井一郎大阪府知事や自民党の二階俊博幹事長らが出席するなか、その誘致委員会のアンバサダーとして登場したのが、ダウンタウンの2人だった。松本人志は、渦中の松井府知事と仲良く壇上にならび、万博誘致アンバサダーという立場について「オリンピックにおける滝川クリステルみたいなもんでしょ。向こうは『おもてなし』、こっちは『なにもなし』で」といった冗談を飛ばすなど会場を湧かせていたと報じられた。この発表で、はっきりとわかったことがある。

 何がわかったのか。森友学園騒動に関して『ワイドナショー』(フジテレビ)で松本がかたくなに沈黙を守っている意味である。政権に都合の悪い話は扱わないニュース番組やワイドショーでも、この問題に関しては連日長い時間を割いて取り扱い続けているわけだが、『ワイドナショー』は突出して森友に関する扱いが少ない。バラエティー要素の強いワイドショーにとって、籠池泰典元理事長の「面白おじさん」っぷりなど格好のネタのはずなのだが、にも関わらず、一貫してこの問題を扱っていないのだ。まるで、そこから逃げているかのように......。

 たとえば、19日の放送では、裏の『サンデージャポン』(TBS)が番組冒頭から30分近く大々的に森友学園問題を取り上げていたのに対し、『ワイドナショー』はアリバイ的に5分ほど触れただけ。

 別に独自の大きなネタがあったわけではない。この日の『ワイドナショー』がいちばん大きく取り上げたのは、なぜか野球のWBC。といっても、野球解説者や元野球選手など専門家でなくただ野球好きというだけのトータルテンボスの藤田憲右を呼んで解説させるというやる気のなさ。そもそも松本はかつて『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)が野球中継に差し替えられたことにブチキレて番組終了につながったこともあるほど野球嫌いで有名で、この日も「試合時間が長すぎる」などと文句を言っていた。WBCを中継しているのはTBSとテレビ朝日で、べつに番宣としてやらざるを得ないわけでもない。いったいなんのためにやっているのか。

 そのあとも、茂木健一郎の「日本のお笑い芸人は権力批判できない」発言問題を、世間から1週間以上遅れで取り上げる。松本があえてなにか言いたいことでもあるのかと思ったら、「茂木さんはおもしろくないから、この発言きいてもなんとも思わなかった」と切り捨てるのみ。プロの芸人がそれを言ってしまったら、もうそれで議論は終わりである。『JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)のなかで「日本のお笑いだって全部世相を反映している」と真っ正面から反論した太田光のように、もっとちゃんと議論に参加してほしかった。

 じゃあ、そんなこと取り上げずに、いまいちばん話題の森友学園問題をやればいいではないかと思っていたら、中井貴一のコンプライアンス批判発言を取り上げ、その後にようやく森友学園問題。しかしわずか5分ほどで、松本はといえば、東野の「本筋は国有地問題なのに野党は100万円寄付問題に終始しそう」という野党ディスに「そっちがおもしろいんでしょうねえ」と相づちを打ったのと、100万円寄付問題について「昭恵さんも、なんか微妙な言い方ですよね。『記憶にない』っていう言い方って、なんか非常に危ないなあって」と話したくらい。「危ない」って、お前は官邸か自民党のリスク管理の人間かと言いたくなるが、とにかくアリバイ的に取り上げただけで、ほとんど触れていないのだ。

 その一週間後、26日の放送ではどうだったのか? 数々の新事実が発覚した籠池証人喚問直後だったが、この放送で最もピックアップしていたのは、またもや茂木健一郎による「政治に関して語れない日本のお笑いはオワコン」論争。そんなにこの話が好きなら、先週あっさりと「茂木さんはおもしろくないから、この発言きいてもなんとも思わなかった」と切り捨てていたのは何だったのか。

 茂木本人をわざわざスタジオに招いてまでこの問題を取り扱ったものの、肝心の内容は、「センスがない」と言われてしょんぼりする茂木を松本がひたすら上からイジり倒すだけで、論争の本題に踏み込むことは一切なし。これなら太田光の出演する裏の『サンデージャポン』に出たほうが茂木にとっても視聴者にとっても本当に見たいものが見られたと思うのだが。

 この日の放送では他に山本裕典騒動も大きく扱い、森友学園に関しては冒頭で7分ほど軽く取り上げたのみ。そこでの松本は「いろいろと言いたいことはありますけど......」と話し始めたものの、すぐに「本題ではない100万円のことに論点がすり替わっている」「我々が望んでるリングはそれじゃない」などと問題そのものに踏み込まない。結局「言いたいこと」も「本題」もなんだったのかは語らぬまま、今度は「自分たちの身の回りで起こる「忖度」」について卑近な例を出し合ったり、いつも通り何を言っているか分からない宮本浩次(エレファントカシマシ)をイジっているうちにコーナーは終了。何かを言っているようでいて、何も言っていないまま、この話題は終了した。

 ちなみに、松井一郎大阪府知事が証人喚問される可能性もあるという話になったとき、松本はその話には一切触れず、すぐさま「籠池さんがここでナンボ頑張ったところで何も変わらないじゃないですか。籠池さん自身は。もう学校もできないし。じゃあ、何と戦って、何をいまがんばってるんですか?」と、またもや全然違う話に変えていた。

 本稿冒頭であげた招致委員会のトップには榊原定征経団連会長が就き、会長代行には問題の松井一郎府知事が就任している。もともと政権へのゴマスリがひどい、どころか、安倍首相をゲストに招いて露骨な「接待」まで繰り広げていた『ワイドナショー』。ダウンタウンが招致委員会のアンバサダーになっていようといまいと政権擁護の番組内容になっていたのは間違いないが、「擁護」どころか「扱わない」というあからさま過ぎる対応に出ていた裏で、森友学園の主犯格として名指しされている松井府知事のもと国家事業の仕事をもらっているという事実がある。かつてのカリスマ芸人は、どこまで権力の犬に堕ちていくのだろうか。
(編集部)