鮮やかなキックフェイントからシュートを突き刺し、昨年6月以来のゴールを決めて見せた。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉 「正直、ホッとしているところはあります」  香川真司はタイ戦で昨年6月のキリンカップ・ブルガリア戦以来となるゴールを挙げ、わずかに安堵の表情を浮かべた。「常に結果を求められる」(香川)なかで、およそ10か月間得点から遠ざかり、プレッシャーや不安もあったはずだ。冒頭のコメントは、背番号10の“偽らざる心の声”だろう。  8分の得点シーンは、香川らしいキレのある動きだった。久保裕也の右サイドからのクロスをペナルティマーク付近で受けると、フェイントで寄せてくるDF3枚を外してシュートコースを作り出し、右足を一閃。ゴール左隅に突き刺し、歓喜の雄叫びを上げた。 「裕也が右サイドで抜けた時に、入るタイミングを少しずらして行ったら、岡ちゃん(岡崎慎司)がニアで潰れてくれた。上手くシュートフェイントを入れてゴールに流し込めたし、大事な先制点を良い時間に取れたのかなと」  しかし、19分に岡崎の代表通算50ゴール目でリードを2点に広げてからは、ゲームマネジメントに課題が残った。タイのプレシャーに怯み、中盤は「いつもなら起こりえないミス」(長友佑都)を連発。ボールロストからゴールを脅かされるシーンが目に付いた。香川も「少し気の緩みが出てしまった」と反省する。 「(グループ最下位のタイで難しさはあった?)タイですけど、(相手は)レアル・マドリーのようなプレッシャーもありながら、プレスに行きました。ただ、流れのなかで(プレスに)行けない場面だったり、(動きを)読み過ぎて入れ替わられたり、イージなディフェンスも含めて課題が多々あった。 攻撃に関しても、ポゼッションしている時の共通意識とアイデアに欠けていた。僕たちはホームで、相手がタイということを考えれば、もっと主導権を握らないといけなかった。裏狙いはひとつの手だけど、それ一本だけではダメ。縦パスを入れてどうやって3枚目、4枚目が絡むのか。最終予選はひとつのミスが命取りになるので、プラスアルファがないと厳しいと痛感しました」

 ただ、香川にとって、この3月シリーズはハリルジャパンでの復権に向けた足がかりとなるかもしれない。タイ戦で改めて、背番号10の得点がチームの士気が高め、勢いを生むことが証明された。ワールドカップ最終予選を駆け抜け、本大会で結果を残すためには不可欠なファクターだ。良い状態で6月のイラク戦を迎えるべく、香川もクラブでの充実を誓う。 「これまでは(ドルトムントで)ほとんど試合に出ていなかったので、どちらかと言えば不安のほうが大きかった。だからこの2連勝は、個人としても、チームとしても意味があるのなと思います。クラブでの評価は常に代表につながるし、僕自身のクラブでの結果は物足りない。今シーズンのラスト2か月、ドルトムントでしっかり結果を残して、また6月(の最終予選)に備えたい」  エースナンバー10による“逆襲劇”に期待したい。 取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)【日本代表PHOTO】タイ戦の美女サポーターたち♥