「素晴らしい勝利」と勝点3の獲得に納得しつつも、試合内容には反省点が多いことを分析したハリルホジッチ監督。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉
 
 グループ最下位のタイが相手だったとはいえ、着実に追加点を重ねた大勝劇。しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「不満を抱く点があった」という反省から会見をスタートさせた。
 
「我々は素晴らしいスタートを切って、2-0と差をつけることができたが、そのあとプレーが止まってしまった。その時間帯に相手はチャンスを多く作っていた」と、リードを広げた後のゲームの進め方に、細部にこだわるハリルホジッチ監督は不満を示したのだ。
 
 確かに試合全体を振り返れば、ビルドアップ時のパスを奪われピンチを招くシーンも少なからずあった。いずれもタイのミスに救われたものの、そうした質の低さを「嬉しくない。気を抜いて、ハードワークが低下したこと」が主因であると分析した指揮官は、さらに次のように続ける。
 
「少しフラストレーションの溜まるパス・クオリティーになっていた。より高いレベルの相手であったなら、全く違った展開になっていたかもしれない」
 
 危機感を募らせたハリルホジッチ監督は就任以来、幾度となく口にしてきた「デュエル」という部分においても言及。個人技術が高いタイの選手のドリブルに手を焼くシーンも目立ったため、「パーフェクトとはいえない。何人かの選手に疲れがあり、未熟さが出た選手もいた。攻撃では個々の距離が遠く、連動性を欠いた。でも、これは私たちにとっていい教訓となった」と時間をかけて修正すべき課題だと語った。
 
 反省点ばかりを口にした指揮官だが、殊勝な活躍をした選手を称えることも忘れていない。とりわけ、今回の代表選で2試合連続弾を決めた久保裕也の存在には手応えを感じているようだ。
 
「この2試合で久保は質の高さと決定力の高さを見せた。私が彼を起用しようと考えてピッチに送り出したが、それを彼自身が裏付けてくれた。まだ終盤に消える時間もあり、彼にはフィジカルコンディションを上げるように要求している。これからも進化し続けてほしい」
 
 その久保と前線で巧みな連携を見せた岡崎慎司と香川真司については、「点を取ってくれたことは喜ばしい。自信に繋がるはずで、意欲的に続けてほしい」と語り、予選が過酷さを増すなかでポジション競争が熾烈化することを期待した。
 
 また、中盤の構成についても触れ、「(酒井)高徳と(山口)蛍を組み合わせるのは初めてだった。それだけにすぐにハイレベルな戦いはできなかったかもしれないが、私は満足している」と、長谷部誠と今野泰幸という両ベテランの穴を埋めた新ダブルボランチに好感を示した。

 次回のワールドカップ予選(6月13日のイラク戦)はグループ1位の状態で迎える。「我々は好位置につけているが、最も難しいのはこれから」と気を緩めなかった指揮官は、「ネガティブなことばかり、言っていますが、今日は4-0で勝った。選手たちは良い評価をされるべきだと思う。今日の彼らは合格点をつけることができる」とチームを称えることも忘れなかった。

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