もはや“不動の存在”とは言えなくなった本田。今後の巻き返しはあるか。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[W杯アジア最終予選7節]日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉

 深夜のタクシーに乗り込むなり、運転手が「今日はサッカーの試合があったんだよね?」とタイ戦の話題を振ってきた。
 
 そして続けざまに、「本田はダメだねぇ」と嘆息を漏らす。さらに、この日のスコアラーについても言及する。
 
「香川が点を取ったんだよね? あとは吉田と……そうそう、岡崎ね」
 
“4-0”で完封したゲームで唯一、忘れ去られている得点者の名前をこちらが口にしても、話好きの運転手はあまりピンと来ていない様子だった。
 
 まず本田の名前が出てくるあたり、日本代表における背番号4は絶大な知名度を誇っているのだろう。しかし実際のピッチ上では、「久保裕也」の急激な台頭の前に、厳しい現実を突きつけられている。
 
 象徴的なシーンがある。
 
 最終予選で3試合連続ベンチスタートとなった本田が、途中出場するためにタッチライン際に立つ。交代でピッチを退くのは、同じ右ウイングでポジションを争う久保か――ハリルホジッチ監督は、ややキレを欠いていた左ウイングの原口と本田を入れ替えた。
 
 ここで注目すべきは、左右の入れ替えだ。ハリルジャパンで右ウイングを主戦場とする本田と久保が同時にピッチに立つのは、これが初めてのこと。これまでの実績を考えれば、本田が右に入り、久保が左に回っても不思議ではない。
 
 事実、久保本人も「左になるかなと思いました」と振り返る。しかし、「でも、そのまま(本田が)ステイしていたので、僕もこのまま右サイドなんだろうな、と。(指示は?)何も言われていないです」。
 
 そもそも、先発と控えという違いはあるが、この「左右の据え置き」は、本田と久保の序列を明確に決定づけるひとつの事象と言っていいだろう。
 
 ミランで出場機会を失っている本田が、日本代表でも先発の座を奪われている一方で、スタメンに定着しつつある久保は、今回の3月シリーズの2試合ではふたつのゴールと3つのアシストを記録している。
 
「僕らの世代がもっともっと出てこないといけないと思うし、僕もさらに活躍していかなければいけない立場なので。とにかく、上の世代に刺激を与えられるように頑張っていきたい」
 
 下からの猛烈な突き上げを受けて、本田はさらなる覚醒を起こすか、あるいはフェードアウトしていくのか……。長きに渡り、日本代表を背負って戦ってきた男の“逆襲”に期待したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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