「本当にやりたいこと」なんて簡単には見つからない



――昨年は表現者としてだけでなく、オリンピック報道番組のキャスターとしても活躍されていましたね。

そうですね、いろいろなお仕事をやらせていただきました。試行錯誤の毎日です。身体を動かす仕事のほうが、まだ自分に自信が持てるので、表現をするほうにもっと力を入れていきたいと思っています。とくに、昨年少し距離を置いてしまったスケートには、真剣に取り組んでいきたいです。

――スケートとは距離を置いていたとのことですが、一昨年(2015年)は、ニューヨークに滞在されていたそうですね?

語学留学のために8カ月ぐらい行っていたのですが、ぐうたらな生活を送ってしまって…(笑)。今思えば、スケートから少し離れたいっていう、若干「逃げ」みたいなところもあったんです。これから先の目標も、暮らしながら見つけられればいいやと思っていて。

――3度目のオリンピック入賞を経験し、現役フィギュアスケート選手を引退したのが2014年。切り替えなんて、すぐにはできないですよね。

ニューヨークは、目標を持っていないと、自分が中途半端に思えてしまって過ごしにくいことに気付きました。それで、「これじゃ自分がダメになる」と思って戻ってきました。「夢もないんだったら、戻ってしっかり自分に向き合い、仕事をしたほうがいい」って。



――その経験があったからこそ、「仕事を頑張ろう」と切り替えできたんですね。

そうですね。落ちるところまで落ちるなと思ったら、上がるしかないので。

――今、将来の夢や目標の作り方がわからない人や、夢を持っていても、そこにどう向かっていけばいいんだろうと悩んでいる人がたくさんいます。夢や目標って、どうやって見つければいいんでしょうか?

それは僕も今、探しているところです!(笑) 今まではずっと、目標は向こうから来ていたというか、常に用意されていたんです。

――世界選手権にオリンピックに…、常に上を目指していればよかった、と。

はい。だから20代ぐらいの若い方々が進学や就職を考えるみたいに、僕も30代で今やっと仕事を始めたところで、本当にやりたいことを見つけなくてはならないのに、「ヤバい、何をやりたいかわかんない!」っていう状態(笑)。

――そんな状態の今、どうされているんですか?

いろんなことをさせていただきながら、自分に合っているもの、やりがいを感じるもの、もうちょっと広げていきたいというもの…って、ひとつひとつ探しています。頭で考えてしまうと、全部やってみたい気もしますし、全部やりたくない気もするんです。だからとりあえず、やれることをやってみています。



――できることを、片っ端からやっていくと。

やってみて、たとえ周りの評価はよくても、自分のなかで納得があまりいっていないと、やはり気持ちも続かないんです。そうやって周りの評価と自分の評価を照らし合わせながら、選択肢を少なくしていく作業をしています。このやり方が正しいかどうかはわからないですけど。

――世界の舞台で戦ってこられた高橋さんでも、そうした悩みと向き合っているというのは、とても勇気づけられるお話です。

今、本当に新社会人の気持ちですよ(笑)。30歳になって、初めてストレスも感じましたし。「胃が痛い!」っていうストレス。終わったら痛くなくなるんですよね、あれ(笑)。

――初めて!? オリンピックよりも大きなストレスでしたか?

オリンピックよりもです。同世代の友達は、みんなこういうストレスを20代で経験してきたんだなと、あらためて尊敬しています。




壁にぶち当たったときは!? 高橋大輔の意外な対処法



――そんな高橋さんにもうひとつ、アドバイスを聞いてもいいでしょうか。たとえば何かやりたいのにうまくいかないとき、壁に当たってしまったときに、どう乗り越えていますか?

僕は…人のせいにしますね。ハハハ。

――え!? 予想とはまったく違う答えが…(笑)。

いや、面と向かって「あなたのせいです!」と言うわけではないですよ(笑)。それから、最初から何も努力せずに、ただ人のせいにするわけでもありません。もちろん、一生懸命やる。でも、それでも本当にうまくいかないときには、逃げ道を作るんです。

――なるほど。

もちろん、すべて自分だけで決めた場合は、人のせいにはできない。でも、うまくいかないことのなかで、努力を重ねても自分の力ではどうしようもないこともあると思うんです。その責任を背負い込みすぎると、どうしても最後の一歩が踏み出せなかったり、周りの目が気になったりしてくる。だからそこで「もう知らない! 言い出したのはそっちだし!」って心のなかで、ちょっとだけ思う(笑)。そうすると踏ん切りがついて、一歩を踏み出せると思うんです。



――逆に言うと「人のせいにしつつも、全力でやる」わけですよね。

そうです。もちろん一生懸命やるんです。それでも最後の困った局面が出てきたときに、自分ではどうしようもない部分については、心のなかでそっと人のせいにする。「知らない! なるようになれ!」って。ちょっと気がラクになって、パッといける。これ、ダメかなあ?(笑)

――いえ、すごく大切な考え方だと思います。自分を追い詰めすぎないということですね。

そうです。途中までは追い詰めて、最後は追い詰めない!

――ありがとうございます。では最後に少し、プライベートのことも教えてください。今、高橋さんがハマっているものは何ですか?

ハマっているのは、映画ですね。ネットで映画やドラマとかを、ずっと見ています。

――見ながら、色気や表現について研究したり…?

息抜きで見ているつもりではありますけど、やっぱりそういうのも気になります。つい「あ、今のしぐさカッコいい!」とか…。言われてみるとたしかに、そういうことを考えながら見ていることも多いかもしれません。




――お休みの日があれば、お家で映画を見て過ごす感じでしょうか?

休みの日は外に出かけるのも好きなんですけど、最近は仕事で外に出ることが多い時期なので、逆に家にこもっています。やはり、ゆっくり映画を見たりすることが多いかな。

――映画を見る以外では、何をすることが多いですか?

掃除していますね。ボーっとすることができないので。あんまり面白いことはしていないですね。これといって趣味もないので…(苦笑)。

――それでは、6月に上演する『LOVE ON THE FLOOR 2017』に向けて、意気込みをお願いします!

今回は、昨年の公演からさらにブラッシュアップ、パワーアップした素晴らしいステージになると思います。僕自身も前回の経験をふまえつつ、プラスαで新しいものをみなさまにお見せできるよう、しっかり準備していきます。期待を裏切らないような舞台を届けられるよう、頑張りますのでよろしくお願いします!

※高橋大輔の高は「はしご高」が正式表記



【プロフィール】
高橋大輔(たかはし・だいすけ)/1986年3月16日、岡山県倉敷市生まれ。A型。8歳よりスケートを始める。中学2年のときに初の国際大会で優勝。全国中学大会2連覇。2001年全日本ジュニア選手権を制し、翌年世界ジュニア選手権優勝(日本人男子初)。06年トリノオリンピック8位入賞。07年世界選手権2位(日本人男子初)。05〜7年全日本選手権3連覇。09年全日本選手権優勝、バンクーバーオリンピックで銅メダル(日本人初)、トリノ世界選手権世界チャンピオン(日本人初)。12年にはニース世界選手権で銀メダル、グランプリファイナルで日本人初の金メダル獲得。その後、14年ソチオリンピックで6位入賞。現在は国内外のアイスショーやキャスターとして活躍しているほか、舞台でも活躍の場を広げている。

■『LOVE ON THE FLOOR 2017』

「ときめき」「情熱」「とまどい」「嫉妬」「無償の愛」といった、愛という感情の持つ様々な面を、トップフィギュアスケーター達と米国のトップダンサーが卓抜したダンスの技術を通じて表現する、ダンスショー。
あの感動と興奮が再び蘇る!!

日程:2017年6月16日(金)〜25日(日)
会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
【公式HP】 http://loveonthefloor.com
【Instagram】@loveonthefloor2017


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今回インタビューさせていただいた、高橋大輔さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年4月7日(金)12:00〜4月13日(木)12:00

■当選者確定フロー
・当選者発表日/4月14日(金)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月14日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。4月17日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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