「愛の50%はセックスが占める」。『モン・ロワ』監督が大人の愛を語る

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 ヴァンサン・カッセルがダメ男を演じる『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』が公開中です。

 付いたり離れたりを繰り返すあるカップルの10年を見つめた同作は、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞。女優としても監督としても活躍しているマイウェン監督がメガホンを取り、男女の愛憎を映し出しました。15歳のときにリュック・ベッソン監督と恋に落ち、その後結婚、出産。ミラ・ジョヴォヴィッチの出現により離婚し、その後も別の男性と結婚し出産するも再度離婚に至るなど、自身も波乱に満ちた人生を送ってきたマイウェン監督に話を聞きました。

◆主演女優の抜擢理由は「光り輝いていないから」

――監督と同様、女優兼監督として活動するエマニュエル・ベルコ(カンヌ国際映画祭女優賞受賞)をヒロインのトニー役に抜擢した理由を教えてください。

マイウェン:最初にジョルジオを演じるヴァンサン・カッセルが浮かんだの。彼はイケメンだし、有名だし、存在そのものが光り輝いている。だからあえて、あまり光り輝いていない、どちらかと内気なところがあって、グラマラスでセクシーで見た目がステキだとは思わせないような女性がいいと思った。だけど、すごくハッピーなときはステキな女性に見えて、ヴァンサンにはない成熟した魅力のある人。それでエマニュエルを選んだのよ。

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――確かに幸せなときのトニーはとても美しく見えました。喜怒哀楽の全てが出ている役でしたが、引き出すために気を配られたことは?

マイウェン:トニーが幸せなときに美しく見えたのは、私が演出しているからよ(笑)。俳優というのは、他人の視線を意識しすぎて本当の自分をさらけ出していないときがある。だから私はビジュアルで彼らの演技のチェックをするより、彼らのセリフの音、声を聞いて、これは嘘っぽいとか、これはいいとか判断していった。

◆愛の50%はセックスが占めている

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――ヴァンサン・カッセルは、本当に説得力を持ってダメ男を演じていました。一緒に仕事をされてみていかがでしたか?

マイウェン:彼はすごく愉快で、とにかく頭の回転が速い人。その場を支配したいタイプの男性ね。現場ではジョークばかり言ってたけれど、一旦、カメラが回り始めるとすぐジョルジオになっていたわ。

――描かれる男女の関係、思いにとても共感しました。ただ日本の場合、特に夫婦になるとセックスレスになっていく人たちが多いのですが、トニーとジョルジオは関係が壊れて以降もセックスをしていて、そこはお国柄なのかなとも……。

マイウェン:彼らをフランスの代表的なカップルだとは思わないでね(笑)。セックスについては、フランスだって同じよ。だんだんしなくなるわ。トニーとジョルジオは例外。彼らのように情熱が勝っているカップルというのは、セックスから何かを注入している。だから、これだけ腐れ縁になるのよ。

――監督ご自身は、愛にはセックスも大切だと思っていますか?

マイウェン:セックスは50%を占めるわね。50%“も”占めると言えるわ。もしトニーとジョルジオのセックスがうまく行ってなかったら、もっと早々と別れているでしょうね。カップルが長続きする理由のひとつは、愛の50%はセックスが占めているからだと思う。
◆膝の痛みは心と連動する

――本作は膝を怪我したトニーが、リハビリセンターで過去と振り返っていく作りになっています。「後ろにしか曲げられない膝のケガは、(過去への)心の痛みと連動する」という医師の話がとても興味深いです。

マイウェン:以前、本で読んだの。膝は後ろにしか曲げられず、過去に結びついている唯一の身体器官だと。すごくインパイアされて、スキー事故に遭った女性がリハビリセンターで過ごしながら、過去の恋愛を回想していくといったことが浮かんだ。精神的な部分がうまくいかなくなると、自分のことを大事にしなさいと思い知らせるために、体のほうがダメになるということは、普段から私が信じていることよ。

――トニーのように膝に直接ケガをしないまでも、前に進めずにいる日本の女性にアドバイスをいただけませんか?

マイウェン:前に進むって、その前にはそもそも何があるの? 日本人って周りからどう見えているかを意識して、建前を重視しながら生きている印象がある。ただ、日本に来るととても幸せな気分になれるのは、日本人のこうした周囲を意識する穏やかさがあるからだとも思う。そのままでいいのよ。でもね、自分自身との調和や折り合いが取れているかは大事。もし自分がやりたくない仕事をイヤイヤやっていたり、好きでもない男と暮らしているのなら、戦わないといけないと思うわ。

<TEXT/望月ふみ PHOTO/MITSUHIRO YOSHIDA HAIR&MAKE/Mariko Kubo>

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』は3月25日より全国順次公開中
配給:アルバトロス・フィルム / セテラ・インターナショナル
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