3月18日に実験が行われた「新型の大出力ロケット・エンジン」 Image Credit: KCTV

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 北朝鮮は3月19日、国営メディアを通じて「新型の大出力ロケット・エンジンの地上噴射実験に成功した」と発表した。

 実験は現地時間18日の朝に、金正恩・朝鮮労働党委員長の立ち会いのもとで行われ、すべての実験目標を達成し、性能や信頼性が実証されたとしている。

 北朝鮮が「新型ロケット・エンジンの実験を行った」と発表したのは、2016年4月と9月に続いて3回目となるが、今回実験されたエンジンは、昨年9月のエンジンとほぼ同等ながら、いくつかの異なる点もある。そしてこの一連の実験の様子からは、国際社会からの長年の非難と懸念にもかかわらず、北朝鮮のロケット技術が着実に進歩していることが伺える。

◆昨年4月、9月に続く、3回目の新型エンジン燃焼実験

 2016年4月と9月、そして今回行われた「新型エンジン」の実験のうち、まず2016年4月に実験が行われたエンジンは、その形状から、「ムスダン」ミサイルのエンジンを2基、束ねたものであると推察されている。

 ムスダンは射程2500〜3000kmほどの中距離弾道ミサイルとされるが、エンジンを2基にすれば、より重いものを飛ばすことができ、さらにその上に第2段、第3段のロケットを積めば、より遠くまで飛ばすことができる。

 北朝鮮はこのエンジンを、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)のためのエンジン」と称している。現在北朝鮮は、「KN-08」と「KN-14」の2種類のICBMを開発しているとされ、また双方にムスダンの技術が使われていると推察されている。したがって、このとき試験されたのは、このKN-08、もしくはKN-14に使用するためのエンジンだったのでは、という見方が強い。

 一方、2016年9月に実験されたエンジンは多くの謎を呼んだ。北朝鮮が「推力80トン級エンジン」と称するこのエンジンは、明らかにムスダンのエンジンとも、あるいはスカッドなど旧式のミサイルのエンジンとも形状が異なり、少なくとも北朝鮮にとって”新型”のエンジンであることは間違いなかった。

◆昨年9月に登場した「推力80トン級エンジン」

 2016年9月に実験された「推力80トン級エンジン」は、写真から推測するに、かつてソ連で開発された「RD-250」というエンジン、あるいはそれを基にしたエンジンである可能性が高い。

 まずエンジンに推進剤を送り込むための強力なポンプ(ターボ・ポンプ)が、エンジンの中央付近に横向きで取り付けられている。他の多くのエンジンは縦向きに取り付けることが多いため、非常に目立つ特徴となっている。このポンプを横置きにする形式は、1950〜60年ごろの、ソ連のロケット科学者ヴァレンティン・グルシュコらが開発したエンジンの特徴でもある。

 また、エンジンの燃焼ガスの色はやや透明がかったオレンジ色をしており、推進剤は非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素の組み合わせを使用していると考えられる。

 以上の点、またエンジンの推定される寸法なども含め、このエンジンは、ソ連製のRD-250と合致する点が多い。

 ただ、RD-250と異なる点もある。RD-250は、ターボ・ポンプは1基のみだが、推進剤を燃やして推力を生み出す燃焼器は2基ある。つまり見た目は、エンジンが2基並んでいるような形をしている。

 しかしこの北朝鮮のエンジンは、異なる角度から撮影された写真を確認しても、燃焼器は1基のみしか見えない。ちなみにRD-250は、燃焼器が2基の状態で約80トンの推力を生み出す。したがって1基しかない場合、その半分の約40トンの推力しか出せない。

 これが完成形なのか、それとも試験のためにわざと減らしているのかは不明である。いずれにしても、北朝鮮のいう「推力80トン級エンジン」というのは、文字どおり”話半分”に聞いておくべきであろう。