ドイツ・ベルリンで麻疹ワクチンの接種を受ける男性(2015年2月23日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】世界保健機関(WHO)は28日、非常に伝染性の高い感染症の麻疹(はしか)の感染患者が1月に欧州全体で500人以上報告されたのを受け、ワクチン接種率が低下している国々で、麻疹の大規模な流行が発生する恐れがあると警告した。

 WHO欧州地域事務局のジュジャンナ・ヤカブ(Zsuzsanna Jakab)局長は声明で「この2年にわたり根絶に向けて着実に前進している中、麻疹患者が欧州で急増していることが特に懸念される」と述べている。

「今日の渡航パターンにおいては、誰もどの国も、麻疹ウイルスの影響が及ぶ範囲から逃れることは不可能だ」

 高熱と小さな赤色の発疹が特徴的な症状の呼吸器疾患である麻疹は通常、軽度の症状しか引き起こさないが、依然として世界の幼い子どもの主な死亡原因の一つとなっている。

 重度の合併症が起きると、妊婦の流産や、脳腫脹、肺炎による死亡のリスクなどを引き起こす可能性がある。

 麻疹ウイルスは、せき、くしゃみ、感染患者との密接な接触などで拡散する。

 患者数が最も多いのはフランス、ドイツ、イタリア、ルーマニア、ポーランド、スイス、ウクライナで、1月に報告された感染患者559人のうち474人が、これらの国々で発生している。

 これらの国々では、麻疹ウイルスに対する国のワクチン接種率の水準が、人口全体を保護するために必要とされる基準値の95%を下回っている。

■2月の新規感染数も急増

 WHOによると、2月の速報値は新規感染数が急増していることを示しているという。この統計は、WHOの欧州地域全体を対象としたもので、イスラエル、カザフスタン、ロシアを含む53か国が対象となっている。

「流行地域のすべての国々に対して、麻疹の感染を自国の国境内にとどめるための緊急措置を講じるよう強く求める。また、これをすでに達成している国々に対しては、警戒を続け、高い予防接種率を維持するよう求める」と、ヤカブ局長は述べている。

「すべての国が、国民を完全に保護するために必要な予防接種水準に到達するまで、欧州や他の地域で、麻疹の流行は続くだろう」と、ヤカブ局長は付け加えた。

 現在、最大の流行は、イタリアとルーマニアで発生している。

 イタリアでは今年、麻疹患者数が3倍に増加している。その主な理由は、親が麻疹と流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の新3種混合(MMR)ワクチンと自閉症との間に関連性があると信じて不安を抱き、子どもにワクチンを接種させないことだとする見解を同国保健省が今月発表した。

 だが、これまでに行われた複数の大規模な研究では、そうした関連性の証拠は見いだされていない。
【翻訳編集】AFPBB News