「さとふる HP」より

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 ふるさと納税、確定拠出年金など、世の中には会社員でも利用できる、節税につながる制度が存在しています。でも、「聞いたことはあるけれど実際には利用していない」「知っているようで知らないのだけれど、今さら聞けない」という方も多いのではないでしょうか。

 そこで本連載では、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が、今さら聞けないそれらの制度について解説していきます。

【いまさら聞けないふるさと納税の話】

亮子「おいしそうだったり、楽しそうだったり。ふるさと納税の特典って、いろいろあるんだね」
啓子「自治体ごとに、工夫をこらしていますよね」
亮子「被災地への寄付というのもいいね」
啓子「制度が始まった当初と比べて手続きも簡単になっていますから、ぜひ多くの方に利用していただきたいです」

●ふるさと納税ワンストップ特例制度

 制度が導入された際は、ふるさと納税による税金の減額をする場合には、確定申告が必要でした。一般的に「確定申告は手続きが面倒だ」というイメージを持っている方も多く、確定申告が嫌だからふるさと納税を躊躇する方もたくさんいたのではないかと推測します。

 そこで、導入されたのが「ふるさと納税ワンストップ特例」という制度です。これは原則として所得税から減額されるはずの分(本連載前回参照)について、特例申請書というものを提出することで、所得税ではなく住民税から控除してもらうという仕組みです。これにより所得税での調整が不要となるため、確定申告も不要になるというわけです。

 具体的には、ふるさと納税をした際に、ふるさと納税先の団体へ特例申請書の提出をすることで特例が適用されることになり、会社員の方は会社の年末調整を待つだけで済むことになります。ただし、この特例には以下のような注意点があります。

・確定申告が不要な給与所得者等が対象
・ふるさと納税をする都度、特例申請書は寄付の都度提出が必要
・医療費控除の申告などのために確定申告をした場合は確定申告が必要
・寄付できるのは5団体以下(5団体を超えると、確定申告が必要となる)

●年末調整と確定申告

 ふるさと納税をした場合、前述の特例申請をすれば、通常の会社員の場合は「年末調整」ですべて完結します。

 ここで、少し話は脱線しますが、そもそも「年末調整」とは何か、について補足しておきます。「年末調整」とは、その名の通り会社が年末に調整を行うという仕組みです。所得税の調整をします。

 そもそも所得税は、納税者が自分で税金の計算をし、自分で納付するのが原則です。でも、サラリーマンの場合、通常は会社が税金を計算し給与から天引きして納付をしています。ただし、月々天引きしている金額はあくまで概算のため、年間の給与額が確定した年末に、1年間の税金を正確に計算し直し、今まで天引きしていた金額と正確に計算した税金の額に差額が生じた場合に、追加で納付又は税金を戻してもらうという調整を行っています。これが年末調整です。ふるさと納税について特例を適用できれば、この年末調整ですべての処理が完結し、確定申告は不要、ということになるわけです。

 ただし、サラリーマンであっても、原則通り確定申告が必要なケースもあります。年収が2,000万円超の方、2つ以上の会社から給与をもらっている方など、条件に当てはまる方は確定申告が必要であり、その場合、ふるさと納税の特例も利用できません。

●ふるさと納税の手順

 では、実際にどうやってふるさと納税をすればいいのか。ふるさと納税の手順について確認していきましょう。なお、ここでは特例を利用できるサラリーマンの方で、ふるさと納税をしたときに確定申告不要となる場合の手順を紹介していきます。

【ふるさと納税の手順】
(1)自己負担が2,000円ですむ上限額を調べる
(2)寄付する地域を選ぶ
(3)寄付を申し込む
(4)特例申請書を提出する
(5)お礼の品を受け取る

(1)自己負担が2,000円ですむ上限額を調べる

 上限額を超えた部分は全額自己負担となり、税金は安くなりません。それでもいいという方は上限額を調べなくても大丈夫ですが、自己負担を2,000円としたい方は上限額を確認するようにしましょう。

(2)寄付する地域を選ぶ

 寄付する地域を選ぶには、各自治体のホームページや案内で確認する方法、「さとふる」「ふるさとチョイス」といったインターネットを利用する方法があります。特に最近ではサイトによって、「寄付金の使用用途から探す」「地域から探す」「お礼の品から探す」など、寄付する地域が検索しやすいようになっていますので、そのなかから寄付したい地域を探してみてください。

(3)寄付を申し込む

 寄付する地域が決まったら、さっそく申し込みましょう。寄付の仕方はメールや電話、FAX、インターネットなど、いくつか方法があります。一番利用しやすいのはインターネットです。(2)で記載したサイトなどを参考に申し込みを行ってください。

(4)特例申請書を提出する

 寄付の都度、特例申請書を忘れずに提出しましょう。この申請書を提出しないと確定申告をしなければなりません。申請書は総務省のふるさと納税のサイトや(2)で記載したサイトに申請書のフォーマットをダウンロードできるページがありますので、そこから手に入れることができます。申請書の必要な個所に記載をし、各地方自治体に郵送しましょう。郵送先も同様のサイトで住所検索ができるため、そこで郵送先の住所を調べてみてください。

(5)お礼の品を受け取る

 お礼の品がある場合、寄付金を申し込む際に特産品を選ぶ方法と、寄付を確認後に特産物のパンフレットと申込書が郵送され、ハガキなどで欲しい特産品を申し込む方法があります。手間を省くには、寄付と同時に特産品を申し込むほうがいいでしょう。

●自己負担を2,000円にするための上限額の調べ方

 自己負担が2,000円ですむようにするための、ふるさと納税の上限額の目安は住民税の「所得割×20%」で、具体的な目安額は前回掲載した通りです。もちろん、所得割の額がわかれば上限額の目安を計算することもできますが、所得割の額の調べ方の説明の前に、そもそも「所得割」とは何か、という点に少しだけ触れておきます。

 住民税は住んでいる都道府県と市区町村に払う税金です。この税金は都道府県の運営、行政サービスの費用を住民で負担するために集められています。住民税の金額は「所得割」と「均等割」の2種類で構成されています。所得割とは、前年1〜12月の所得金額に応じて計算される税金、均等割とは所得金額にかかわらず定額で発生する税金です。

 住民税の所得割額は、現在のところ全国一律、所得の多寡にかかわらず10%です。所得税の最低税率が5%であるのに対し、住民税は10%ですから、所得税より住民税のほうが高いケースも多々あります。

 さて、サラリーマンの方の所得割がいくらであるか確認するには、会社から5〜6月頃に受け取る「特別徴収税額決定通知書」を見てください。これは、今年住民税をいくら納付しなければならないかを計算した結果を、個人の方に通知する書類です。この通知書に所得割の金額が記載されています。

 厳密には、ふるさと納税をする際に入手可能な通知書は昨年度の所得に対する計算したものとなるため、今年度に適用される上限額と一致するものではありませんが、収入やライフスタイルが例年と大きく変わらない限りは、所得割額も大きく変動しないため、ひとつの目安として利用することが可能です。

 また、前述した「さとふる」「ふるさとチョイス」といったウェブサイトの中に、上限額のシミュレーションができるページがあるので、それらを利用してみてもよいでしょう。なお、ふるさと納税をしたら翌年度の「特別徴収税額決定通知書」を確認するようにしてください。「税額控除」という欄にふるさと納税をしたことによって控除される金額が記載されますので、ちゃんと税金が減ったかを確認することができます。(人によっては「税額控除」の欄にふるさと納税以外の寄付金の控除や住宅ローン減税の控除などがある場合もあります。)

亮子「私は確定申告必須だから、特例は使えないみたい」

啓子「確定申告が必要な場合、ふるさと納税は『寄付金控除』として処理します。具体的な申告書の書き方が、総務省のウェブサイトに出ていますし、そんなに難しくありません」

亮子「納税先を自分の意思で選ぶことができるって、よく考えるとすごいことね。特典を楽しみにしつつ、納税者としての自覚を持つことができる」

啓子「ふるさと納税を通じて、自分たちの納めている税金について、みなさんにもっともっと知ってもらいたいです!」

(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)