GK川島がタイ相手に目立つような活躍を見せた点は課題。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全5枚)

[ワールドカップアジア最終予選 7節]日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉スタジアム
 
  最近の日本代表の試合の中では珍しかったんじゃないかな。スコアは4-0だけれど、決して内容は「大勝」と言えるものではなかった。
 
 シュート数はタイのほうが上回った。CKの数も相手が多かった。スコアと内容が一致しない。むしろ、タイにも日本と同じ4点取れるぐらいの決定的なチャンスを与えてしまった。そのあたりは今後に向けた課題になったと思うよ。
 
 もちろん、ワールドカップの最終予選は結果が第一だ。その点では、勝点3を上積みし、得失点差も広げられて、「良かった」と言えるかもしれない。とはいえ、グループ最下位のタイ相手にこれだけミスをしていたことは、さすがに見過ごせない。その点は指摘しておきたい。
 
 決して流れが良くないなか、前半の19分までに香川真司、岡崎慎司と2ゴールを奪い、これで試合の主導権を掴んだはずだった。ところが、これでみんなホッと落ち着いてしまったのかな。そこからつまらないミスが増えて、相手の猛烈なプッシュを受ける形になってしまう。
 日本のプレスはかからない。1対1では守り切れず、かわされてしまう。球際も中途半端。セカンドボールも拾えない……。

 結局、相手のゴール前のプレー精度の低さに助けられたけど、決定的なチャンスを作られた。すぐにでもスタッフがそういった「崩されたシーン」を編集して、個々に指摘すべきだろう。「勝てばOK」と表向きでは言っていても、そのあたりのちょっと軽率な守備を改善できないと、このあとの3試合は間違いなく乗り切れないよ。
 
 久保裕也の素晴らしい3点目のゴールが決まっていなかったら、ちょっと先行が不安な展開だった。結局、どんどん相手に押し込まれて、それを跳ね返せなかったから、PKまで与えてしまったわけだからね。川島永嗣のPKストップは見事だったけど、「なぜPKを与えてしまったのか」を、ハリルも、選手も、しっかり突き詰めてほしい。
 
 裏を返せば、タイは日本のお株を奪うような、厳しいプレスを仕掛け、1対1を挑んできていた。せっかくのホームゲームだったのに、相手に手応えを与えてしまったのは、もったいなかったよね。
 それに、このUAE、タイとの2連戦は、いずれも似たような展開だったと言えた。相手に助けられた面も多かった。UAE戦でも先にピンチを作られたものの、久保の一発で形勢逆転できた。今回のタイ戦も、久保の3点目が決まって、やっと勝利を確信できた。
 
 この試合に先立ち、オーストラリアはUAEに2-0で勝っている。つまり、UAEはまだ「強豪」と呼べるレベルには至っていないことが改めて証明された。
 
 要するに、日本は今回、グループの下位2チームに連勝した。勝点を取りこぼさなかったのは大切なこと。ただ、だからこそ過信は禁物だよね。勝って当然、とも言える相手だったんだ。
 
 これからはサウジアラビア、オーストラリア、そして日本の「3強」で1、2位のワールドカップ行きのチケットを争う形になる(3位はプレーオフに回る)。
 
 6月8日に、まずオーストラリアとサウジアラビアが対戦する。そのあとの13日に、日本はイラクとアウェー(中立地)で戦う。三つ巴のライバルが潰し合うわけだから、日本は勝点3を奪って、アドバンテージを得たい。
 
 ここで躓いてしまうと、相手に勢いを与えかねないからね。ある意味、6月のイラク戦が、この最終予選の重要なポイントになると言える。

 すなわち、今回2連勝したけれど、日本は決して有利な立場に立ったとは言えない。ライバルは下位チームとの対戦を残しているわけだからね。