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自動車で400メートルの加速勝負を行う「ゼロヨン」や、停止状態から時速100kmまでのタイムを競う「0-100km/h(ゼロヒャク)」を行う際には、タイヤの温度を上げてグリップを高めるための「バーンアウト」と呼ばれる準備を行います。エンジンパワーにモノをいわせてタイヤを空転させ、摩擦熱でタイヤを無理やりに温めて表面を溶かすことでグリップを得るというのがその狙いなのですが、実際のバーンアウトのやり方や、それによってどの程度タイヤの温度が上昇するのかをまとめたムービーが公開されています。

How To Do A Burnout - Manual Transmission - YouTube

ムービーで解説しているのは、YouTubeチャンネル「Engineering Explained」のオーナーであるジェイソン・フェンスキーさん。自分の愛車であるホンダ・S2000を使ってバーンアウトについて説明しています。



ムービーでは、マニュアルトランスミッション(MT)を搭載した後輪駆動車(FR)でのバーンアウトのやり方を紹介。まずはギアを1速に入れ、クラッチを踏んだ状態でアクセルをふかして、最もトルクの強い回転数をキープしたら……



「ドン!」とクラッチを一気につないでアクセルを全開にし、すぐさま左足でブレーキペダルを強く踏み込みます。こうすることで、スタート位置からほとんど動かない場所でタイヤを空回りさせて熱を入れるというわけです。



なお、フェンスキーさんが紹介している方法もバーンアウトのやり方の1つですが、こと日本においてはいわゆる「ヒール&トゥ」と呼ばれる方法を使うのが一般的かも。左足でクラッチを操作するのは一緒ですが、右脚のつま先でブレーキペダルを、そしてかかとでアクセルをコントロールするというテクニックを使うという方法が、ゼロヨン競技者の間ではより一般的です。さらに、ブレーキペダルを離しても前輪だけフルブレーキ状態をキープできる「ラインロック」と呼ばれる特殊な装置を取り付けて使うというのも一般的です。

というわけで、バーンアウトでどの程度タイヤ表面の温度が上がるのかをチェック。まずは平常時の温度を計測すると……



表面の温度は、セ氏15度前後でした。



そしてフェンスキーさんによるバーンアウトを実施。エンジン回転数4000rpmあたりでクラッチミートしてみましたが、それほど空回りは生じなかった模様。エンジンの許容回転数が8000rpm(F22C型)または9000rpm(F20C型)にも達するS2000の高回転型エンジンにとって、4000rpmというのは回転数が足らなさすぎたのかも。



案の定、タイヤの温度はそれほど上がらずセ氏19度どまり。このあとも数度のバーンアウトを試みましたが、結局セ氏25度程度に達するのが限界だった模様。



ここで強力な助っ人が登場。自動車関連のユーチューバーであるカールソン氏がハンドルを握ります。



カールソン氏はクラッチを7000rpmでミートさせて見事なバーンアウトを披露。あたりが真っ白になるほどの煙を十数秒にわたって吐き出し続けました。



その結果、タイヤの表面温度はなんと160度以上にも達しました。この状態で手で触るともちろんやけどしてしまいますが、おそらく表面はベタベタに溶けた状態になっているはず。



タイヤ後方の床には、タイヤのかけらとみられる破片が散らばっています。



しかしすぐにタイヤの温度は下がり始めました。数秒後には130度程度にまで落ち込み……



2分後には80度程度にまで冷めてしまいました。



一方、フルパワーでバーンアウトしている時はタイヤ表面が上限160度の温度ゲージを振り切って真っ白の状態に。この状態で「ヨーイドン!」すると、最強のグリップを得られることは間違いありません。



タイヤのグリップを飛躍的に高めるバーンアウトですが、これはあくまでサーキットなどの場において有効なテクニック。公道を走る限りはバーンアウトしても何の意味もなく、クラッチやブレーキを痛めてしまう上に、周りの人に取ってはただの迷惑な人に陥ってしまうので、時と場合を選んでバーンアウトすることが肝要です。