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『マーフィーの法則』という本を覚えているだろうか?
ユーモアと哀愁に富む「経験則」をまとめたこの本は、1990年代に当時ビジネス書として日本で販売された。この本は多くの人に読まれるベストセラーとして一斉を風靡し、至る所でメディアに取り上げられたり、イベントなどが催されたりした。

「マーフィーの法則」流行の起源


そもそも「マーフィーの法則」とはどこから生まれたものなのか。

「マーフィーの法則」の名前の由来となる「マーフィー」とは、アメリカ空軍での研究に関わっていた大尉の名前。
彼がある研究の間違いの原因を究明した際に、"If there is any way to do it wrong, he will"( 「いくつかの方法があって、1つが悲惨な結果に終わる方法であるとき、人はそれを選ぶ」 )という「経験則」を述べ、その後この「法則」が軍部内から世間へと広まっていったという。

日本でもその法則は1980年代頃から一部の科学技術者の間で知られるようになるが、1997年に最初に"The Complete Murphy's Law"の訳本『マーフィーの法則』が出版されたことから、幅広く世間に知られるようになった。

ちなみに、当時さまざまな替え歌ソングを歌うことで人気だったシンガーソングライター・嘉門達夫が「マーフィーの法則」というシングル曲を発売するなどという異色の盛り上がりもあった。

「あるある」ネタに共感!


そんな「マーフィーの法則」の中でも、有名で代表的なものをいくつか紹介したい。
「落としたトーストがバターを塗った面を下に着地する確率は、カーペットの値段に比例する。」
このトーストの転落の法則は、ユーモアのある秀逸なものとしてとりわけ有名で、真面目に論文にしたものが1996年にはイグノーベル賞も受賞している。

その他にも、
「起こる可能性のあるものは、いつか実際に起こる。」
「うまく行かなくなりえる事は何でも、うまく行かなくなる。」
「いちど認めた例外は、次からは当然の権利となる。」
「作業の手順が複数個あって、その内破局に至るものがあるなら、誰かがそれを実行する。」
「人生で楽しい事は、違法であるか、半道徳的であるか、太りやすい。」

……このようなユーモアと機知に富んだ、多くの人がうなずける「経験則」の「あるある」ネタは、普遍的で教訓のような言葉も多く誰にも当てはまりやすいために広く支持されたのかもしれない。後年も改訂版などが刊行され続けているのは、場所や時代を超えて、人間の本質には変わらないことを物語っているのかもしれない。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりマーフィーの法則―現代アメリカの知性