リュック・ベッソン監督

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【この監督に注目】リュック・ベッソン監督、マイウェン監督

リュック・ベッソン監督の2番目の妻、
元美少女が放つ恋愛映画はカンヌで受賞!

先日公開された『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』は、実にフランス映画らしく、甘いだけではない激しさややるせなさを備えたリアルな大人の愛の映画だ。エリート女性と羽振りのいい色男が恋に落ち、夫婦になり、関係に亀裂が生じ……という10年を描いた本作は、ヒロインの弁護士トニーを演じたエマニュエル・ベルコが第68回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。『太陽のめざめ』などを手がける監督でもあるベルコから名演を引き出したのも女性監督。子役からキャリアをスタートさせ、波乱の人生を歩んできたマイウェンだ。

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』インタビュー/官能的で鮮烈な愛描く話題作に主演した不美人女優!

マイウェンはリュック・ベッソンの2番目の妻で、16歳で彼と結婚して娘を生んでいる。出会いはセザール賞の授賞式だが、実はその時の主演女優賞を受賞したのは当時ベッソンの妻だったアンヌ・パリロー。ベッソンは自身の監督作『ニキータ』でヒロインを演じた妻の晴れ姿に涙する一方で、1ヵ月後に15歳になるマイウェンの存在をしっかり目に留めていたようで、ほどなくアンヌと別れてマイウェンと交際、翌92年に結婚した。当時、ベッソンはアメリカで『レオン』を撮っていたが、主演のナタリー・ポートマンとマイウェンの風貌はよく似ていた。彼女は後に、『レオン』は自身とベッソンの関係を描いた作品だと語っている。『レオン』にも、ベッソンが次に撮った『フィフス・エレメント』にも彼女は小さな役で出演しているが、ベッソンは後者の撮影中にミラ・ジョヴォヴィッチと恋に落ち、マイウェンと97年に離婚。彼女は幼かった娘を連れてフランスに帰国した。ベッソンはミラと3度目の結婚をしたが、これも2年で破局を迎えている。

公私を分けられないからこそヒットメーカーに!
スターの原石を見分ける目は確か

公私混同の極みな泥沼の恋愛ドラマ的展開だが、この仕事とプライベートを分けきれない性分がベッソンをスターメイカーたらしめていたのは間違いない。作品に恵まれず伸び悩んでいたアンヌは『ニキータ』1本で誰もが知る女優になった。映画は最初から最後まで、ベッソンの愛があふれている。恋愛抜きにその才能に惚れ込んだナタリーや、モデルから女優への転身を図っていたミラといった原石をいち早く見出し、スターへの道を用意して大きく開花させたのはベッソンの最大の功績だろう。夫に庇護されていると見られるのを嫌って女優としての美学を貫き、自力でキャリアを切り開いた後に監督作『パリ警視庁:未成年保護部隊』(11)が第64回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したマイウェンの可能性も、ベッソンは十分に承知していたに違いない。

まもなく還暦で枯れてきた?
のめり込むような愛を感じる作品は減少…

フィルモグラフィーを振り返れば、ベッソンの監督作は女性が主役のものがほとんどだ。ただ、映画プロデューサーである現在の妻、ヴィルジニー・シラと2004年に結婚したのを機に、以前のように女優に対してのめり込むような愛情を感じる作品は減った感はある。

2014年に撮った『LUCYルーシー』の主演はスカーレット・ヨハンソンだった。すでに若き大女優である彼女の新しい面を引き出したかといえば、そうでもなく、今のベッソンは新しいスター女優を見つけることにはあまり情熱はなさそうだ。

3年ぶりの監督作『Valerian and the City of a Thousand planetes』のヒロインはカーラ・デルヴィーニュ、リアーナも出演する。2人ともビッグネームのスターで映画出演もこなしているが、女優としては未知数でもある。もしかしたら、と少しばかり期待してみたい。(文:冨永由紀/映画ライター)

冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。