CDやMP3プレーヤーなどの出現によって一時期は絶滅が危惧された「カセットテープ」を再評価する気運が高まっています。独特の柔らかい音質はアナログの仕組みだからこそ得られるものであり、曲を入れ替える際にカセットを入れ替えるという行為や、物体としてのテープを走らせて再生するという行為が、音楽を聴いているという実感をより強くさせるともいわれています。テープ復興にともない、カセットテープを昔ながらの機械で生産する工場が今でも稼働を続けています。

Making Cassette Tapes | Stoned Mode - YouTube

大きな機械にセットされた、蛍光イエローのカセットテープ。この機械がガッチャンコと動くことで、次々と新しいカセットテープが作り出されています。



工場内には大きな業務用テープマシンが置かれています。



これらのマシンは音源を複製する「デュプリケーター」と呼ばれるもの。マスター音源から中身を別のテープにダビングして製品に仕上げていきます。



テープを巻いたリールからテープの一端をとりだし……



いくつものローラーの間を通してマシンにテープをセット。



そして、巻き取り側のリールにテープを巻き付けて準備完了。



あとはボタンを押すと……



リールが回転し、テープに音楽を吹き込んでダビングして行きます。そういえば、「吹き込む」という言葉も近年はあまり聞かれなくなったかも。



ダビングの際には、VUメーターやピークメーター、ラウドネスメーターなどいくつものメーターを使ってきちんと録音されているか確認。テープを使ったアナログの録音方法を知らない人には見たことがない光景かもしれませんが、テープには適正な「録音レベル(=音量)」というものがあり、音が大きすぎると音がひずみ、小さすぎると「サー」というノイズに音が埋もれてしまうために、ちょうどいい録音レベルを設定することがとても重要でした。



使われているマシンは、Electro Sound製のモデル名・8000と呼ばれるデュプリケーター。マスターの音源をセットしたプレイヤーと同期して動き、音源を複数のテープに録音するマシンです。「PRESS STOP OR THREAD TAPE」と書かれた部分の手前には、2つの磁気ヘッドが見えるのですが、モデルの役目からすると左から「録音ヘッド」と、録音した音をすぐに確認できる「再生ヘッド」が並んでいるはず。



このように、縦型のデュプリケーターも使われている模様。



今はなきRCA社製のトーンアナライザーなども現役で稼働。全てがデジタルのデータでやりとりされる現代にはほとんど必要なくなった機材が今でも動いているシーンには少し感動すらおぼえます。



一方、こちらはカセットテープのケースに印刷を行う工程。2つのスタンパーが回転して、2色でケースにデザインを転写。



印刷が完了したケースは、右側へと流れてきて仕上げの工程へ。



最終工程では、ケースにテープを巻き取って完成させます。



冒頭に登場していたマシンは、ケースにテープを巻き取るための機械「テープローダー」。上から新しいケースがセットされ、左側にセットされたテープがケースの中に入れられ、リールを回転させてテープを巻き上げていきます。



完成したテープを梱包するのも手作業。



紙に印刷したジャケットを手で折りたたんで……



透明のケースに入れ、最後にカセットテープを入れて完成。



最終的に、透明のフィルムでくるんで商品の完成です。



アナログ方式であるカセットテープはデジタル音源に比べてノイズが多く、周波数帯域も狭くて取扱いにも気をつけなければならないなど、さまざまな不便さがありますが、どこか懐かしいテープならではのサウンドがデジタル時代に再び評価されており、まだまだ現役で使われる時代は続きそうです。