新世代商品群の第2シーズンとなる新型CX-5。注目の「魂動」デザインは今回どのように進化したのか。チーフ・デザイナーへのインタビュー、前半はコンセプトからボディ前半までを伺います。

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── まず全体のお話から伺います。CXシリーズは国内外で3、4、9と続き、デザインの傾向も進化していますが、その流れはデザイン部で共有されているのでしょうか?

「育て方のガイドラインのようなものはありません。新型のコンセプトはリファイン&タフネスですが、順番というより、そうした車種ごとのキャラクターを重視しています。また、初代のユーザーさんと歩んだ数年間がありますから、その成長をどう表現するかですね」

── 「魂動」が動物の躍動感を示すのであれば、新型はよりエモーショナルナな方向もあり得たと思いますが

「先代はマツダの新世代商品のスタートとして、いわば若々しい躍動感を意識しました。それが比較的「線」による表現であったのに対し、より「面」の美しさを見せることによるエモーショナル、あるいはブランドの上質感を出そうと考えました」

── フロントを見て行きたいと思います。グリルは先代が閉じた5角形でしたが、新型ではより大きく、解放された表現となりました

「フロントはブランドのを象徴ですから、今回はシグネチャー・ウイングを完成されたアートピースとして見せたかった。先代ではランプの中に伸びていたウイングが独立したパーツとなり、彫りの深い大人の表情となっています」

── ボンネットとウイングの間にすき間を設けたのもその一環ですか?

「ここはふたつの意味があります。まず見え方として、両者を離すことで先のようにウイングがしっかり独立して見えること。もうひとつは機能面で、法規上、反対側のターンランプが45度の角度から見えるよう工夫をしているんですね」

── ノーズ先端を前に伸ばし、逆スラント的にした意図はどこにありますか?

「ボディとキャビンのバランスを見直すには、ノーズの長さが重要になります。先代はノーズが上を向いていましたが、今回は外寸ギリギリまで前に出し、アゴを引いた大人の表情にしたかった。もちろん、いかにクルマを美しく見せるかを考えた結果でもあります」

── ランプは、先代のように厚さがある方が背高のSUVとして表現しやすいと思えますが

「先代の大きな目が若々しさだとすれば、大人の精悍な表情として、キリッとした目つきにしたかった。これは、同時に全車LEDを使ったという技術面の話もありますね。また、今回は顔の位置全体を下げているので、この薄いランプでの表現が可能になったわけです」

── アンダーグリルは最近では珍しく横方向の表現で、かつ要素も最小限ですね

「ふつうは要素を盛ってグラフィカルに見せてしまうのですが、やはり面のニュアンスで見せたかった。横一線の表現をすることで、よりワイドで低重心に、スタンスのよさを目指しています。まあ、写真ではなかなか分かってもらえないんですけどね(笑)」

── 先代と異なり、ボンネットラインをそのままショルダーに流したのはなぜですか?

「先代はフロントにふたつの動きがありましたが、ここを「ひとつの大きな動き」とし、その先端はリアタイヤにしっかり荷重が掛かる表現にしました。これはモデラーさんが自主活動で作ったオブジェがヒントになっていて、フロントの「線」がリアに向けて微妙な「面」の表情になることで、エレガンスさも出せたと思います」

新型の「引き算のデザイン」は、フロントではとくにアンダーグリルに明快に現れているようです。要素を減らした分の造形をどう考えるのか。後編はボディサイドの面作りから話を聞きます。

[お話を伺った方]

マツダ株式会社
デザイン本部 チーフデザイナー
諫山慎一

(インタビュー:すぎもとたかよし)

先代の若々しさから「大人の上質」へ。マツダ・CX-5の新しい魂動デザイン(前編)(http://clicccar.com/2017/03/28/456539/)