<多数の民間人が犠牲になっても、米軍は民間人を巻き添えにするISIS掃討作戦を続けるつもりだ>

3月半ばから2週間でイラク北部モスルとシリアで市民100人以上が死亡したとみられる空爆について、米軍主導の有志連合が事実関係を明らかにするため複数の調査に着手している。

今はテロ組織ISIS(自称イスラム国)からのモスル奪還に向けて有志連合が空爆を強化し、アメリカが支援する民兵部隊もいよいよISISが事実上の「首都」とするシリア北部ラッカに迫っている。気になるのは、有志連合の攻勢と軌を一にするかのように、民間人が犠牲になったという報告が増えていることだ。今年に入って米軍の司令官はより自由な裁量を与えられ、ホワイトハウスの承認なしに空爆実施の決定を下せるようになった。

モスルで最大級の空爆があったのは3月17日。多数の民間人がとどまる西部で、ISIS戦闘員の潜伏先とみなす地点を空爆した。米軍は、爆撃された建物の周辺で空爆を実施したことを認めた。ソーシャルメディアに投稿された写真やビデオを見ると、建物は完全に破壊されており、200人規模の市民が犠牲になったとされる。

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モスルに残る民間人50万人

米中央軍のジョン・トーマス報道官は、市民が住んでいる建物を本当に米軍が爆撃したのか否かを判断するため、米政府の調査チームが3月17日前後にモスルで実施した空爆を記録した数百時間超のデータを解析中だと説明した。

イラク軍は26日、標的になった建物にはISISによって爆弾が仕掛けられており、有志連合の空爆による破壊だと示す証拠はないとした。住民によると、がれきの下から少なくとも160人の遺体が回収されたという。

もし米軍による空爆と確認されれば、2014年に米軍がISIS掃討作戦を開始して以来、最悪の犠牲者数だ。米国防総省がこれまでの作戦で220人の民間人が死亡したと認めるが、人権団体などはさらに数百人以上が殺害されたと主張する。

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モスル西部では戦闘から逃れるため、ここ数週間で約20万人の市民が脱出した。だが少なくとも50万人は市内にとり残されており、民家の間を縫って繰り広げられる熾烈な戦闘のなかで身動きができずにいる。作戦開始にあたり、イラク政府は市民に対し、超満員の難民キャンプに避難せず、家にとどまるよう呼びかけた。その決定が、数十万人の市民の命を危険にさらしている。

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ポール・マクリーリー