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日本経営協会は3月28日、「組織のストレスマネジメント実態調査報告書」について発表した。調査は2016年12月下旬に企業(団体)888団体に質問紙送付、また1月中旬にWEB調調査で、合計552件を対象に行われた。

○メンタルヘルスによる長期休業「増加」は26%

5年前と比較したときのメンタルヘルス不調による長期休業者数は「増加」が26.0%、「減少」が9.3%、そしてメンタルヘルス不調による退職者は「増加」が17.8%、「減少」が7.3%だった。5年前と比較して職場のメンタルヘルスは悪化している。

5年前と比較してワーク・ライフ・バランスが悪化したと答えた事業所は、メンタルヘルスの状況も悪化したと回答。同様に、人員の多様化が進行したと答えた事業所もメンタルヘルスの状況が悪化している。

平均勤続年数(中位数による推計値)は、ストレスマネジメントに全く取り組んでいない事業所が9.7年であるのに対し、積極的に取り組んでいる事業所は16.8年だった。

業種別に比較すると、ストレス耐性度が高く出たサービス業では、メンタルヘルスの状況が5年前からそれほど悪化しておらず、ストレスマネジメントへの関心度、事業所のストレスマネジメントへの取り組みが、いずれも少ない結果となった。対照的に行政・自治体では5年前と比べたメンタルヘルスの状況が最も悪化しており、職員のストレスマネジメントへの関心度、事業所のストレスマネジメントへの取り組みが最も高い結果となった。約6割の事業所がメンタルヘルスに関する問題は今後増えると予想している。

○ストレスチェック制度「効果あり」は32%

同調査実施時点(2016年12月下旬〜2017年1月中旬)でストレスチェック受検が終了している事業所は7割弱。従業員数50人以上の事業所の100%がストレスチェック制度を実施または予定しているが、従業員50人未満の事業所では約20%にとどまった。

ストレスチェック制度を実施する動機・理由の1位は「義務化を良い機会と捉えて」(54.0%)でした。2位は「福利厚生の一環」(37.4%)、3位は「メンタル不調者の増加」(22.6%)という結果でしたが、「義務化された(されそう)なので仕方なく」という消極的な理由も1割弱あった。

全受検者に占める高ストレス者の比率は、「5〜10%未満」が28.2%、「10〜15%未満」19.8%で多く、ほぼ半数がこの範囲に含まれる結果となった。全体平均(中位数による推計値)は6.9%。

ストレスチェック制度を実施するメリットは「従業員のストレス状況が確認できる」が64.0%で最も多く、以下、「メンタルヘルス不調者を早期発見できる」(58.3%)、「従業員自身がストレスケアに関心を持つきっかけとなる(予防)」(56.7%)となった。

ストレスチェック制度の問題点としては、「面接指導対象者に選定されても面接を受けない人が多い」(34.6%)、「本人の同意がないと結果を閲覧できないので、適切な対応ができない」(33.0%)、「ストレスチェック制度の実施効果に疑問がある(正直に答えないなど)」(29.2%)が上位だった。

ストレスチェック制度を実施したことによる効果については、「効果あり」が32.8%、「効果なし」が5.5%。残りの61.7%の事業所が判断できないという内容の回答だった。

○メンタルヘルス不調者が生まれる要因・影響とは?

メンタルヘルス不調者が生まれる主な要因の1位は「職場の人間関係」(64.3%)、2位は「本人の性格」(43.7%)、3位は「上司との相性」(40.0%)。なお、「長時間労働」(23.9%)は6位で、要因としての注目度は相対的に低い結果となった。

メンタルヘルス不調者が生まれる主な要因では上位ではなかったにもかかわらず、メンタルヘルス不調者を生まないために実施している取り組みでは、「超過勤務(残業)時間の削減」(69.4%)が1位で、2位以下の項目と大きく差がある。2位は「従業員のハラスメントに対する知識と意識の向上」(44.2%)、3位は「ハラスメント防止・対策の強化」(35.5%)となった。

メンタルヘルス不調者が勤務先事業所に与える負の影響の1位は、「所属部署の他の従業員の業務負担増加」(50.2%)。また、2位の「所属部署の他の従業員のストレス増加」(41.3%)、3位の「人間関係の悪化」(39.5%)、5位の「職場モラール(士気)の低下」(36.0%)の4項目は、職場内の他者に与える影響として連鎖する内容であり、負の連鎖が心配されている。

ストレスマネジメントを実施するうえで問題となっていることの1位は「ストレスマネジメントについての専門知識やスキルを持つ人材がいない」(39.5%)、2位「マネジャーが多忙で部下のストレスマネジメントにまで手が回らない」(29.9%)、3位「ストレス対策のための費用や人手を捻出できない」(25.9%)となった。ストレスマネジメントを推進するうえで人員・人材不足が問題となっているようだ。

同協会では、働き方や人員の多様化に伴うストレス増への対応を行うこと、ストレスマネジメントを優先する職場風土とマインドを醸成すること、ストレスチェック制度を有効活用すること、機を逃さずに従業員の研修や職場環境改善を行うことを提言している。

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