都内で発表された「ハナエモリ マニュスクリ」17/18年秋冬コレクション(2017年3月23日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】(記事更新)木がレースに、そしてイブニングドレスへと姿を変える──17/18年秋冬「アマゾン ファッション・ウィーク 東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で天津憂(Yu Amatsu)が発表した「ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)」の新作は、世界に日本の独創的な職人技を見せつけた。

 黒柿の木から作ったレースをなめらかなブラックの生地に合わせたドレスを主役にした天津のコレクションに、ファッショニスタたちは目がくらむような興奮を覚えた。

 また「バオ バオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」のバッグへのオマージュかのような三角形のパネル模様のドレスには、栗やクルミの木の薄い板が使われていた。木はこの他にも、袖留めやチョウをかたどった繊細な髪飾りに使用されていた。

 日本はハイテク技術と独特な素材で知られ、それは「シャネル(CHANEL)」などの有名なクチュールブランドに提供されるだけでなく、国内のデザイナーたちにインスピレーションを与え続けている。

 2004年から日本に住み、東京を拠点とするスタイリストでブロガーのミーシャ・ジャネット(Misha Janette)氏は、日本のファッションはエンターテインメントよりも「素晴らしい」素材を使った奥深さを重視する傾向にあると指摘する。

「小さな村がそれぞれ独自の生地を持っている」と、ジャネット氏は言う。「彼らは若いデザイナーらと協力して新しい素材作りに本当に熱心に取り組んでおり、それが彼らを際立たせている」

 天津は今回のコレクションのテーマを、新しく、より美しいものを作り出すために素材を組み合わせる「combine」だと語った。

 天津によれば、黒柿の木はとても硬く、「ミシンの針が入っても割れない」。そのため、厚さ0.14ミリにまで薄くしてから、生地に貼り付けて強度を出したという。彼はそれをチョウ柄のレースに切り抜いていった。天津は一連の工程を通して、鉛筆の削りくず、あるいは木の皮のような、木の色を保つことに注意を払った。ショーでは、同じ素材で作られたベルトと印象的なバッグも披露された。

 そのインスピレーションは世界から得ていると、天津は語る。「いつも映画や音楽、建築などいろいろなものを見ながら、面白ければデザインに落とし込んでいる」

■繊維産業が盛んな大阪を拠点

 52人のデザイナーが新作を発表したこの東京ファッション・ウィークで、革新的な素材は木だけではなかった。

レディー・ガガ(Lady Gaga)に何度も衣装提供したことで有名な「ロギーケイ(ROGGYKEI)」は興梠仁(Hitoshi Korogi)と景子(Keiko)のデザイナー夫妻が手掛けるブランドで、繊維産業が盛んな大阪を拠点としている。

2012年にパリ(Paris)でショーを開催した際、「メイド・イン・ジャパン」の恩恵を実感したという夫妻に、本拠地を移す予定はない。よりしっとりとした肌触りになるのはポリエステル50%とウール50%の組み合わせだと、夫妻は言う。彼らは生地に洗いをかけたり、染めたりもしている。

そんな「ロギーケイ」のコレクションでは、絞り染めや藍染めのストールが見られたほか、ベビーカシミアのストールは奈良の加工工場で作られたもので、何度も洗えるようにコーティングされ、ピリング防止加工もされていた。さらに、端切れの活用や、天然素材を化学繊維と組み合わせるなどの工夫もあった。

しかし、少なくとも1人、最先端の素材を国外から仕入れている日本人デザイナーがいた。「イッセイミヤケ(Issey Miyake)」で働いていた森川拓野(Takuya Morikawa)が2012年に立ち上げたブランド「ターク(TAAKK)」は、シルクのワンピースや毛皮、ベルベットのジャンプスーツなど、米国カルチャーにインスパイアされたエネルギー感あふれるコレクションを披露した。

「全部素材はオリジナル。ジャガードは日本で作った」と森川は説明する。「刺繍はコストが高く日本でできなくなってきたので、良いものを作るためにも中国やインドで作っている。日本にも良い手法はあるが、そこにあまりとらわれ過ぎずに、世界中の良いものを使っている」
【翻訳編集】AFPBB News