中国にとって高速鉄道はいまや国を代表する製品の1つとなっている。中国でも高速鉄道は「中国製品の名刺的な存在」であるとして、中国製造業の高度化を体現した製品だと胸を張る声が多い。だが、この製品には暗い過去があるのも事実であり、それは2011年に温州市で生じた衝突脱線事故だ。(イメージ写真提供:(C)ymgerman/123RF.COM)

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 中国にとって高速鉄道はいまや国を代表する製品の1つとなっている。中国でも高速鉄道は「中国製品の名刺的な存在」であるとして、中国製造業の高度化を体現した製品だと胸を張る声が多い。だが、この製品には暗い過去があるのも事実であり、それは2011年に温州市で生じた衝突脱線事故だ。
 
 この事故以後、時速350kmで走行していた路線は時速300kmで、また時速250kmで走行していた路線は時速200kmで走行するようになったが、中国メディアの駆動之家はこのほど、「中国高速鉄道は結局のところ、どれだけの速度で安全に運行できるのか」と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事が中国高速鉄道の最高速度にこだわっているのは、中国高速鉄道の現行速度では国際市場で優位に競争を進められないという理由が関係しているようだ。例えば東北新幹線は最高時速を320kmに引き上げる計画を順調に進めていると紹介。また、東海道新幹線も速度を引き上げる計画があり、欧州ではドイツのICE3やフランスのAGVも、車両そのものは時速360kmで走行できるように設計されていると説明した。

 従って、中国の中国全国人民政治協商会議と全国人民代表大会(両会)では毎年、多くの代表委員から事故前の速度に戻すよう提案がなされていると説明したが、全国政協委員の1人は事故前の速度に戻すこと自体は問題はないが、「肝心なのは管理レベルも引き上げることだ」という見解を示していると紹介。結論として中国高速鉄道はどれくらいの速度であれば安全に管理・運行ができるのかは今もって「謎だ」と論じた。

 中国高速鉄道の速度引き下げは温州市での事故に起因しているが、この事故の原因は追突されたD3115列車が落雷による停電で動力を失っていたこと、また追突したD301列車とD3115列車の運行順序が逆転していたことから列車運行の制御システムに重大な問題があった可能性も指摘されている。また、そこにはさらに人為的判断ミスも重なった可能性もある。近年は重大な事故を起こしていない中国高速鉄道だが、安全確保は営業速度よりも優先すべき最大の課題だと言えよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)ymgerman/123RF.COM)