薬剤耐性を減らそう応援大使のジョイさんと篠田麻里子さん

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近年、抗菌薬(抗生物質)や抗ウイルス薬が効かない「薬剤耐性」を持つ病原体が現れ、世界中で問題になっている。

例えば、2013年に米国で発見された「カルバペネム耐性腸内細菌」は、最も強い抗生物質が効かず、「悪夢の細菌」として恐れられた。2015年に日本でも約1600人の感染が確認され、59人が亡くなっている。

体調を悪くする病原体には細菌とウイルスがあり、対処法も異なる。細菌は栄養、水分、温度などの環境が整えばどこでも細胞分裂して増殖できる。代表的な細菌はサルモネラ菌、大腸菌、結核菌などで、治療には抗生物質が使われる。

一方、ウイルスは、自力では増殖できず、人間や動物などの生きた細胞の中で増殖する。治療には抗ウイルス薬が使われる。代表的なウィルスはノロウイルスやインフルエンザウイルス、麻疹(はしか)、ヘルペスウイルスなど。

薬が効かない細菌やウイルスが現れた主な原因は、私たちが抗生物質や抗ウイルス薬を正しく使っていないことにある。

2017年3月7日、二子玉川ライズガレリアで「薬剤耐性を減らそう!」啓発イベントが行われ、応援大使を務めるタレントのジョイさんと篠田麻里子さんが登場し、薬剤耐性を防ぐためにどうすればいいかを紹介した。

風邪に「とりあえず抗生物質」は間違い

「先生、風邪だと思うので、とりあえず抗生物質を出してもらえませんか?」

受診した際によくありそうな会話だ。抗生物質はなんでも効きそうなイメージを持つ人も多いと思うが、それは間違っている。一般的に風邪の原因はウイルス。そこに細菌をやっつける抗生物質を飲んでも意味がない。また必要のない抗生物質と飲むと、たまたま体内にいた細菌がその薬への耐性を持ってしまうこともある。

ただし、一見風邪に見える症状の中には、抗生物質が必要な場合もあるため、医師の診察のもとに薬を飲むことが大切だ。

「薬を飲んだら元気になったので、途中でやめた。残った薬はまた具合が悪くなった時のためにとっておく」

これもよくない。病気ごとに必要な治療期間があるのに、勝手に抗生物質を飲むのをやめたり量を減らしたりすると、生き残った細菌が自分自身を変化させ、耐性を持ってしまうことがある。それが体内で増えると病気が治りにくくなる。

ジョイさんは、2010年に結核を患った際、薬をきちんと飲むことの大切さを学んだ。以前は薬を飲み残したこともあったというが、今は薬剤耐性のことを多くの人に伝えていきたいとした。

ペットや家畜にも影響する

イベントでは、ペットや家畜など、動物も薬剤耐性の注意が必要だと紹介された。動物には人間の2倍以上の抗生物質が使われているため、獣医師の指示に従って、適切に使わないとそのうち動物の治療に使える薬がなくなるかもしれない。さらに、研究者の間では、将来、耐性菌が食肉を介して人に影響する可能性も指摘されている。

現在、8歳の犬を飼っているという篠田さんは、今は病気もせずに元気だが、もし(犬が)病気になったら、正しい用法・用量を守って薬を飲ませたいと語った。

耐性菌を持っているかどうかは、簡単な検査でわかるものではない。効率よく病気を治すためだけでなく、次の世代に効き目のある薬を残すためも日頃から薬の用法や容量を守って適切に飲むことが大切だ。

医師・専門家が監修「Aging Style」