松井 拓己 / 松井サービスコンサルティング

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いまやすべての産業でサービス化が進み、サービスは競争優位そのものといえる時代になりました。GDPの約8割はサービス業が生み出し、製造業に おいても事業の「サービス化」に熱心に取り組んでいます。農業や水産業においても「6次産業化」としてサービス業に取り組むことで、収益を改善していく動 きが活発です。しかしその一方で、「サービスで競争優位を築きたいが何から手を付けたら良いのか分からない」という企業が多いようです。そこで今回は、事業のサービス化の例を見ながら、サービスで競争優位を築くためのポイントや課題を見出してみたいと思います。

サービスを事業の収益源に

「サービスしてよ」というように、以前はサービスという言葉は「おまけ」や「無料」という意味で使われていました。しかし、毎回新規のお客様に商品を売るよりも、商品を買っていただいたお客様への「アフターサービス」でお金をいただいたほうが、収益は圧倒的に 安定化します。それに気づいて、商品販売よりもアフターサービスの方を収益の柱とする事業が増えてきています。もはやサービスは「おまけ」ではなく、事業の収益源になったのです。

サービスを今も「無料」や「おまけ」という意味で捉えていたり、サービスは接客のことだけを指すと理解している業界はまだまだ多いようです。しかし、サービスはビジネスの主役として事業の収益源になるものなんだと、意識を変えてみる必要がありそうです。

最近注目されているサービス改革には、ある特徴が見られます。それは、新しいサービスを生み出したり改革する時に、「我が社はサービス業である」という方針を強く打ち出していることです。たとえサービス業であっても、自社のビジネスを改めて「サービス業」として捉え直して、サービスで価値を発揮しようと熱心に取り組んでいるのです。

「我が社はサービス業である」 この意識が持てるかどうかが、最初の一歩になりそうです。

機能ではなくサービスで差別化する

これまで企業が新しい商品を売り出す時には、「新しい機能」を積極的にPRしていました。商品を「機能で差別化」していたと言えます。しかし近年は商品のライフサイクルが短くなり、すぐに競合他社にキャッチアップされて同様の商品が市場に溢れてしまうようになりました。機能の差がなくなると、あっという間に過当な価格競争に巻き込まれてしまいます。そこで今、意識の高い企業は、機能ではなく「サービスでの差別化」をして顧客を集めています。

ただし今まで商品の機能で差別化していた企業が、サービスで差別化をしたり、サービスで価値を発揮しようとすると、大きな壁にぶつかります。それは、「サービスで価値を発揮するための商品づくり」ができないということです。今までは、機能やコスト、開発期間ばかりに精力を注いできたため、出荷されてからの「サービス」はテリトリー外だという意識で商品づくりをしてしまうのです。これでは、サービスでの差別化はできません。これからは商品づくりの段階から、いかにサービスで価値を生み出すかを検討し、盛り込む必要がありそうです。

サービスだけを販売する

最近は、商品の販売から派生してサービスだけを販売して成功する企業がたくさん出てきました。有名なのはアメリカのGEです。GEは、航空機のエンジンを製造して航空機メーカーに販売していました。しかし最近は、ANAやJALのような航空会社から航空機エンジンのリース料と保守・メンテナンス料を徴収するビジネスを展開して成功しています。他にも、ゲームコンテンツやビジネス用ソフトウエア、カーシェアリングなど、様々な業界でサービスだけを販売するビジネスが注目を集めています。

メーカーも意識の転換を

いずれにしても最も重要なのは、それまでの意識を変えることです。サービスで競争優位を築き、差別化できている企業は、サービスを事業の中心に据えて、どうすればサービスの価値を高められるのかに情熱を燃やしています。その結果、価値あるサービスを生み出し、お客様と一緒にサービスを磨き上げることができているのです。一方で、サービスを「おまけ」として捉えたり、本業のついでにサービスにも取り組んでいるような企業は、苦戦する傾向があるようです。

例えばメーカーが「製品を売るついでにサービスにも取り組んでいる」という意識にとどまっていては、サービスを競争優位にすることはできません。 「私たちは、製造も行うサービス業なんだ」と意識を転換させてみるのです。その意識で作られた製品は、大きな差別化が実現できるはずです。逆に、IT企業や外食業、保険会社や小売業など、本来はサービス業であるにもかかわらず意識が製造業化してしまっている企業はあるのではないでしょうか。

まずは、「我が社はサービス業である!」という意識を高めること。そして、サービスの本質を理解した上で、全社一丸となってサービスに本気になることが、サービスで競争優位を築くための第一歩になるのです。

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