「あの人、苦手…」職場の人間関係の悩みを解決するためにできること

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職場で過ごす時間は、一日の内で結構なウェイトを占めていますよね。家族よりも職場の人と一緒にいる時間の方が長い……という方もいらっしゃるでしょう。そこで生じるのが、職場の人間関係に関する悩みです。

今回は心理カウンセラーである筆者が、職場の人間関係の悩みを解決するためのポイント3つをご紹介いたします。

人の多面性に気付くこと

職場の上司、部下、同僚。実はあなたが見て感じている相手の印象というのはごく一部で、表面的でしかありません。例えば職場の上司で考えてみましょう。あなたから見たらその上司とは同じ部署の上長ですね。ですがその上司もいる場所によっては父親であり、息子であり、ゴルフ仲間のメンバーであり、善良な一市民でもあるわけです。

つまり人は参加をしているコミュニティによって、その場に相応しい態度を複数持っているのです。あなたから見えているのは、そのごく一部である上司としての役割、態度に過ぎません。

このように人は多面性を持っていることを理解し、多角的に相手を見る目を持つことで相手への評価は大きく変わります。例えばこれまでに見たことのない相手の側面を知ったときや、普段とのギャップを感じた際に、その相手が魅力的にみえたり、それまでの評価がガラリと変わったという経験はどなたでもあるはずです。

以前、筆者の知り合いが、職場での人間関係の話題になった際に「あの人、同僚としては嫌だけど人としては好き」と言っていたことがありました。このように相手を色んな角度から見ることができる方というのは他社理解ができ、人間関係で深く悩むことは少ないでしょう。

苦手な相手にこそ、積極的にコミュニケーション

「なんとなくあの人、苦手……」そんな人、職場に一人や二人はいませんか? 人間ですから相性の合う合わないがあっても仕方がありません。学生時代の友達付き合いと違い、当然職場の中では一緒に働く人達を選べないもの。特に女性の場合は、コミュニティ形成の仕方として気の合う仲間内で群れることを望み、異質なものを排除しがちです。そうすることによって余計に苦手な人との折り合いがつきにくくなってしまいます。

そこでぜひやっていただきたいのが、苦手な相手にこそあえて積極的に話しかけてみるということです。苦手な相手だからこそ初めはハードルが高く感じられるかもしれません。ですが最初は挨拶程度でも構わないので、積極的にコミュニケーションを増やすことを心掛けましょう。

というのも職場に限らず人間関係とは、“鏡に映る自分”だからです。つまり自分が笑えば鏡の中の自分も笑うのです。自分の態度が変われば相手の態度も自然と変わってゆくもの。そのきっかけとして自ら歩み寄るということはとても効果的です。

感情による敵・味方という意識を持たない

先にお伝えしたように女性の場合、コミュニティ形成の中でポイントとなるのが群れを作ろうとすることです。これは職場の人数が多くなればなるほど顕著に現れます。

そうなると必然的に生じるのが、周りに対し「この人は味方で、あの人は敵」というように敵・味方という区別の意識を持ってしまうことです。

心理学的には内集団と外集団との関係性で説明ができるのですが、そうなってしまうと自分以外のグループをネガティブに見るようになります。特に「自分は自分で、他人は他人」という考え方が苦手な人ほど、自分とは違う意見を持った相手に対し尊重ができず、「自分が否定された」と感じ、そのような相手を敵とみなしがちです。

さらに加えていえば、こと人間関係が絡んだフラストレーションほど相手への攻撃性は強まりますので、それらが一層加速をするのです。このように自分の感情が先行をして職場の中で敵・味方という括りで周りを囲ってしまう人というのは、当然人間関係で大いに悩むことになります。

しかしそれらは全部自身の中で作り出していることがほとんどなので、まずは自分の認識が偏っていないか振り返ってみるとよいでしょう。

職場の雰囲気はその組織文化の中で作られてきたもので、先達から新人へと伝承をされてゆきます。そのため、いわゆる職場の空気のようなものに関しては、そう簡単に変えられません。

しかし自分の認識や心持を変えて人間関係の悩みと対峙することは可能なわけですから、ぜひご紹介した方法を試してみてくださいね。

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※ Rawpixel.com / shutterstock

【筆者略歴】

大間 秀章

大学や企業を対象に専任カウンセラーとして従事する傍ら、執筆活動も行っている。専門分野は人間関係、恋愛、キャリア、メンタルヘルス、人生論。保有資格は産業カウンセラー、気象予報士 など。