守りを固めてくると予想されるタイ相手に、ハリルホジッチ監督はどんな戦術を採用するのか。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 カメレオンのような――。
 対戦相手やシチュエーションに応じてメンバーと戦い方を変えるハリルジャパンについて、長友佑都はそんな表現で形容した。
 
 昨年10月、アウェーのオーストラリア戦では左サイドバックに槙野智章を起用し、変則3バックのような形を取って守備的に戦った。
 
 11月、ホームのサウジアラビア戦では好調だった大迫勇也と久保裕也をスタメンに抜擢し、ハイプレスをかけてショートカウンターを繰り出した。
 
 アウェーで戦った3月23日のUAE戦では、アンカーを置いた4-3-3を初めて採用。UAEのストロングポイントである10番のイスマイル・マタルと21番のカーリーヘア、オマル・アブドゥルラフマンを封じ、相手のディフェンスラインの裏を狙った。
 
 こうした戦い方の効用について、長友が語る。
「(メンバーが変わることで)選手間の競争も出てくるし、相手も僕らのことを読めないと思う。相手も僕らのことを研究していると思うけど、毎試合フォーメーションが変わっていい試合をされると、戸惑うんじゃないかと思いますね」
 
 相手が戸惑うのも、当然のことだろう。なにせGK川島永嗣の起用は、取材をしているこちらにとっても驚きだったし、アンカーを置いた4-3-3だって初めて目にするものだったのだから。
 
 その4-3-3の採用と、今野泰幸のインサイドハーフでの起用は、UAE戦におけるひとつのハイライトと言っていいだろう。
 
「今野は素晴らしいプレーをしてくれた。ここ3試合、G大阪でどんなプレーをしているか追跡して、そこでアイデアが浮かんだ」
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合後、そう明かした。
 
 今季のG大阪は3バックを採用しているが、中盤はアンカーの遠藤保仁とインサイドハーフの今野、倉田秋の3人によって形成されている。本来のボランチよりも一列前に入り、得意のボール奪取からそのままの勢いで攻撃に参加し、公式戦で3得点をマークしている今野の活躍と起用方法をヒントにした――。
 このUAE戦はJリーグの力をダイレクトに代表チームに反映させたという点で、今後に向けて大きな価値を持つことになる。
 
 最終予選6戦4発の原口元気も、カメレオンのような戦い方を歓迎しているひとりだ。
 
「短期間のなかで監督としっかりコミュニケーションをとって、それを試合で表現できている。こうした戦い方は、ポイントを獲るためにすごく理にかなっていると思う」
 
 これまでの日本代表は、アジアではボールを保持して主導権を握れたが、予選を突破して世界と向き合った途端に主導権を握れなくなり、軌道修正を余儀なくされてきた。だが、ハリルジャパンはアジアのチームとの対戦だろうが、欧州、南米のチームとの対戦だろうが、相手に合わせて戦い方を変えるというコンセプトに変わりはない。
 
「だからイメージしやすいというか、連動性のあるまとまった守備ができているから、パッとやっても、そんなにボロボロにされることはないんじゃないかなって思う。守備とカウンターの精度をもっと上げていけば、本番でもいい戦いができると思う」
 
 そこで、3月28日のタイ戦である。グループ最下位のチームをホームで迎える一戦で、カメレオンのような代表チームは、何色に変わるのか――。
 
 どんなメンバーで、どのように戦うのか、想像が広がるところにも、ハリルジャパンの楽しみ方がある。
 
取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)