<トランプは今や、得票数でクリントンに及ばなかった大統領どころではなく、ロシアに当選させてもらった大統領、目玉公約のオバマケア廃止法案さえ通せない大統領、つまり「まぐれの大統領」だ>

ドナルド・トランプ米大統領にとって大きな敗北だ。3月24日、オバマケア(医療保険制度改革)の廃止代替案を議会採決直前に撤回せざるをえなくなったのだ。共和党の「フリーダム・コーカス(下院議員連盟)」と呼ばれる保守強硬派の支持が得られず、賛成票が足りなかった。これで、選挙戦中あれほど強く廃止代替を公約していたオバマケアは予見可能な将来、ずっと続くことになった。上下院を共和党が支配する状況下でさえ、最重要法案を採決に持ち込めない──トランプ米大統領と共和党の驚くべく無能さがさらけだされた瞬間だった。

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それだけではない。先週の数日間に、FBI(米連邦捜査局)は米大統領選へのロシアの関与とトランプ陣営の関係について捜査中であることを認め、トランプが指名した最高裁判事候補の議会承認は躓き、極めて良好だったイスラエルとの関係も壁にぶつかった。「最強の交渉役」を自任してきたトランプの面目は丸つぶれだ。フェイク(偽)ニュースや大ぼらでこれまでも散々世間を振り回してきたトランプだが、フロリダでの休暇を取り止めて記者たちへの弁明に終始した今回は、完全にコントロールを失って見えた。 

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「オバマが盗聴」はでっち上げ

トランプの大統領就任以来続いていた中傷や根拠のない非難、フェイクニュースの嵐を静まらせたのは、先週月曜、FBIのジェームズ・コミー長官が米下院情報特別委員会の公聴会に出席し、米大統領選をトランプ有利にしようと工作したロシアのスパイとトランプ陣営スタッフの関係について捜査中だと証言したときだ。もし本当なら、トランプはロシアに当選させてもらった大統領ということになりかねない。またコミーは、バラク・オバマ前大統領がトランプのことを盗聴していたというトランプの根拠なき主張についても、そんな証拠はとこもないとにべもなく否定した。

それでも、最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチが上院に無事承認されていれば、少しは政治的な暗雲も晴れただろう。だが民主党が承認阻止を宣言し、トランプと上院共和党は難しい立場に追い込まれている。民主党が「フィリバスター(議事妨害)」に打って出れば、共和党は8人の民主党議員を味方につけなければゴーサッチを承認できなくなる。

外交面でも傷を負った。ジャンクロード・ユンケル欧州委員長はEUのローマ条約締結60周年の演説で、ナショナリスト的な運動を煽る「いまいましい」トランプへの警戒を呼びかけた。極右など一部を除けば、ヨーロッパは、トランプのポピュリスト的レトリックにうんざりしているのだ。

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ニコラス・ロフレド