前回対戦時は2−0で日本が勝利した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 タイ戦は展開が大体読めます。

 最初の15分から20分間は、日本が押し込む展開が続くはずです。日本のサッカーのスピード感にタイは面食らうような立ち上がりになります。そのなかで、タイは偶然性に賭けた攻撃を数度打てる程度だと思います。この時間帯にゴールが生まれるのかどうかが、最初のポイントです。
 
 前半の半ばになるとタイの選手たちも目が慣れてきます。この辺りから、タイにもいくつか良いシーンが生まれるかもしれません。ただ、何れにしてもタイはビルドアップしながら自分たちで意図してスペースを作る攻めはあまり見せないので、基本的には日本がボール保持する展開になるでしょう。
 
 日本がこの展開の時にどういう試合に持ち込むかが、この試合の1番の見所です。
 
 ボールを保持しようと思えば、ある程度できると思います。しかし、ハリルホジッチ監督になってからの日本はワールドカップ本大会を見据えたなかで、UAE戦で見せたようなソリッドな守備からの速い攻めでチームを作ってきました。
 
 その戦いをこの試合でも徹底するのか。もしくは少しボールを持つ時間を長くしてリズムをコントロールしに掛かるのか。その日本の選択で、その後の展開は決まっていきます。

 そういう意味では、大迫選手、今野選手、郄萩選手とリズムチェンジができる人材を怪我で欠くことになったのは少し痛いです。今の日本代表は層が厚く、選手の入れ替わりでレベルが変わることはありませんが、選手の個性は当然違います。

 そのなかで、ハリルホジッチ監督が今度はどのようなメンバーを送り込むのか。そこに試合運びのメッセージが見えるでしょう。

 前回日本と対戦した時のタイは4バックでしたが、ここ最近は3バックで戦っています。3番のキャプテン、ティーラトンが出場停止ですが、そのまま同じポジションに2番のピーラパットを入れて、3バックで来る可能性が高いと思います。

 3バックは現在のタイ代表の選手たちの特徴を考えると、より合理的な選択です。ただ、3バックに慣れ親しんだ選手はあまり多くありません。そこに付け入る隙が生まれています。
 特に、サイドからゴール方向に斜めにフリーランニングする選手の対応はずっと修正されていません。原口選手や久保選手はゴールへの道筋を見つけられるはずです。ボールのないところでしつこく相手の背後を狙い続け、センターバックとウイングバックのギャップを突いてほしいと思います。
 
 そういう意味では、途中出場になるかもしれませんが、小林悠選手の起用はハマると思います。追加招集されたばかりですが、Jリーグで結果を出し続けているストライカーに、先日の今野選手に続く活躍を期待したいです。
 
 とはいえ、単調にフリーランニングの選手を使うだけで崩せるほど簡単ではありません。そこでキーとなるのは清武選手でしょう。UAE戦では出番がなく、怪我明けということもありコンディションはベストではないかもしれませんが、ハリルホジッチ監督はどこかで使ってくるのではないかと思います。
 
 今回は大迫選手が出られないことで、前線の選手の特徴が変わります。そこに岡崎選手が入ることが予想されますが、そうなると、前線の3人はフリーランニングからのフィニッシュが特徴の選手になります。
 
 彼らが裏へ抜け出すタイミングを見つけるためには、相手のディフェンスラインと中盤のラインの間でボールを受け、時間を作る必要があります。そのスペースで時間ができれば、相手ディフェンスラインの選手の目線を固定することができ、その瞬間に前線の選手は相手の背中を取ることができます。
 
 その役目には清武選手が適任です。
 香川選手はより前線の選手の近くに生きる場所を見つける選手です。清武選手と香川選手の併用も面白いですし、それぞれに違う、スペシャルな彼らの能力をどのような配置で、またどのタイミングで使うのか。ここもこの試合の焦点と言えます。

 タイの選手たちは日本の選手たちをリスペクトしています。昨年の対戦では、タイの選手たちが必要以上にその気持ちを持ちすぎていたように見えました。

 私には両チームへの期待があります。
 
 タイ代表には思い切り良く果敢に挑み、それぞれの選手の個性を日本の皆さんに見せつけてほしいと思います。

 そして日本代表には、そのリスペクトにふさわしい強さを、厳しく、隙を見せない戦いで示してほしいと思います。