By Rafael Matsunaga

Amazonを利用している人の中には、同じ商品の価格が日によって、場合によっては1日の中でも細かく変化していることに気づいた人もいるはず。Amazon本体に加え、多くの小売店が参入しているオンラインマーケットの市場では、そこで販売されている商品の価格はまるで株式市場のように状況に応じた変化がおこっています。

The High-Speed Trading Behind Your Amazon Purchase

http://news.morningstar.com/all/dow-jones/us-markets/20170326515/the-high-speed-trading-behind-your-amazon-purchase.aspx

テクノロジー系コラムニストのクリストファー・ミムズ氏はある日、マシュマロを買おうとAmazonにアクセスしました。そこではノンブランド物の商品が安く販売されているのですが、名の通ったブランドの物になるとその価格は小売店で販売されているものの2倍になっている上に、しばらく価格の変化を追跡してみたところ徐々に高騰していったそうです。

ミムズ氏によると、商品によって価格が変動するのは各ストアが価格を設定しているためであり、その背景にはアルゴリズムやAIを使った価格設定のシステムが働いているためとのこと。Amazonでは2000年からサードパーティがAmazon上で商品販売することを可能にしており、マーケットプレイスではAmazonが独自で販売している商品とサードパーティによる出品が多く存在している状態です。そこでは、あたかも株式の価格が取引場のやりとりで決められるように、その時に最も強い価格を決める力学がはたらいているといいます。

実際のAmazon上では価格の動きは比較的緩やかであり、株式市場のような急激な価格の変動はあまり見られないそうですが、それでも短期間の中で価格が細かく上下しているケースはいくらでも見受けられます。Amazonにおける価格の推移をグラフで表示するChrome拡張機能「Keepa」を使うと、さまざまな商品の値動きが一目瞭然になります。例えば、マシュマロを入れてライフル銃のように発射するMarshmallow Shooterの価格は、記事作成時点では5378円でしたが、最安値は3500円前後、そして最高値はおよそ1万3000円にまで達していたことがわかります。



このような値動きの原動力は、Amazon内における露出の高さを巡る争いです。これはGoogleの検索結果で可能な限り上位に表示させるSEO対策と同じ考え方にあたるもので、Amazonで商品を検索した際に最初に表示されるページが最も購入される可能性が高いため、特にアグレッシブに値付けを行う店舗はライバル店の価格や在庫の動向を細かくチェックし、その時に最も有利な価格と利益のバランスを追い続けています。

AIを使って市場価格の動向を追い、販売価格をアドバイスするFeedvisorはそんな際に用いられるツールの1つだとのこと。Amazonのトップ500に入り、Feedviserを利用しているバリー・ランパート氏はこのサービスについて「セットして、あとは放置」という使い方が可能だと語っています。Feedviserは商品の価格を細かく動かしてライバルの動向をチェックすることで、最大の売上と最少の損失を両立させる値付けをAIによって行うというサービスです。

このようにしてAmazonでの商品価格は決定される状態となっているのですが、さらに複雑になるのが、Amazon自身がそれらの商品を販売するというケースがあることです。市場の詳細な売上データを把握しているAmazonは、利益が期待できる分野に自ら商品を投入して売上を狙ってきます。この時、市場の詳細なデータを唯一持っているAmazonが有利な立場にあることは明白です。例えば、安定的な消費が期待できる乾電池の分野では、サードパーティが販売する乾電池は細かな値動きを繰り返しているのに対し、Amazonが自社ブランドで販売する商品は価格がずっと安定し、さらに他社の半分程度の価格で販売されているとのことです。



By raymondclarkeimages

小売業という分野全般にも言えることですが、オンラインでリアルタイムに情報がやりとりされるAmazonのようなネット小売りの世界では、商品の価格はまさに株式市場のようにダイナミックに変化しており、金融工学用語である「ボラティリティー」が取り沙汰されることも。これは小売業者にとってチャンスであると言える一方、波に乗り遅れてしまった場合には売上が壊滅的な状態に陥ってしまうことも意味しています。そのため、オンライン販売を行う場合はAmazonに完全依存するのではなく、他のプラットフォームにも同時に出店するというリスクヘッジ策を採ることが重要と言われています。