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意外と気づかれていない相場の基本があります。相場が一方向に動くためには、一方向に向かうフロー(資金の流れ)が必要です。このフローを作る担い手は投資家や実需です。

○投資家や実需が作るフローと投機筋が作るフローの違い

投資家はいったん投資方針が決まれば、一定方向に資金を継続的に移動させ相場のトレンドを作ります。過去の例でも、6年といった長期にわたる資金移動もありました。

一方、実需のフローとは、輸出企業と輸入企業という全く性格の異なるふたつのフローのネットによって発生します。つまり、「輸出-輸入」が貿易収支と言われますが、貿易収支が黒字(輸出>輸入)になると製品を海外に輸出した代金をドルで受け取る方が輸入より多いため、円に交換するドル売りが強まります。

そして貿易収支が赤字(輸出<輸入)になると、燃料・原材料や製品を輸入した代金を海外にドルで支払うために、銀行からドルを買って送金しますので、ドル買いが強まります。

このように、貿易収支が黒字ならドル売りが恒常的に起きあるいは貿易収支が赤字ならドル買いが恒常的に起きることによって、フローが発生することになります。

それに対して投機筋はどうかと言いますと、投機筋には投機筋の宿命があります。

その宿命とは、投機筋は例えばドルを売れば必ず利食いか損切りのために買い戻さなければならないし、ドルを買えば必ず利食いか損切りのために売らなくてはなりません。ということは、長くはポジションを持ち続けることはできません。つまり、投機筋が相場のフローを作るチャンスは、非常に限られていることになります。たとえ投機筋がフローを作れたとしても、それは短期間のことだと言えます。

このように、フローを作ることのできる投資家と実需とフロー形成が難しい投機筋が共生するのが、マーケットということになります。

○4月は相場が不安定になることがある

それが、これから始まる4月相場では、事情があって一時的にマーケットへの参加を差し控えるものもあり、相場が不安定になることがあります。というのは、4月は日本の投資家や多くの企業(実需)が新年度を迎えます。

しかし、新年度が始まったからと言って、投資家も実需もすぐには新年度の方針は決まりません。新年度の方針は早くても4月後半にならないと決まってきませんので、一方向のフローは発生しづらくなります。そうすると、マーケットにいるのは投機筋だけです。

既に申し上げましたように、投機筋は売れば買わなくてはならないし、買えば売らなくてはならない以上、相場はトレンド性のある一方向の動きを続けることは難しく、上がれば下がる、下がれば上がるというアップ・ダウンの激しい相場になります。

しかし、4月は新学期だったり新年度であったりということで、気持ち的には「気分も新たに、さあやるぞ!」とばかりに、マーケットに突っ込んでくる投機筋も多く、結構短時間に売り過ぎ、あるいは買い過ぎになりがちです。

そして大きくポジションが一方向に偏れば、後は大きく反転することになり、マーケットにのめり込めばのめり込むほど、やられが大きくなりがちです。

しかも、このようなことが毎年繰り返されがちですので、季節要因として記憶なり記録なりに、とどめておくことが大切です。

なお、4月以外にも同じような傾向が出る時期がありますので、以下ご紹介します。1月初め、欧米勢の新年度であり本邦勢にとっては新年で気分一新のときです。9月は欧米勢の実質的な下期のスタート点であり、10月は本邦勢の下期のスタート点です。

つまり、新しい年や新しい年度の初めは「さあやるぞ!」と気合いが入りやすく、思わず相場に飛び込みがちです。しかし、実はそこにはフローを創出する投資家や実需は時期的に動きが鈍りますので、むしろ慎重に対応しなければならないわけです。

※画像は本文とは関係ありません

○執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。

(ストラテジスト 水上紀行)