2590円で憧れのオシロスコープが手に入る! そんなDIYキットを組み立ててみました

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オシロスコープは、電子工作で何かと活躍してくれるステキ計測器。しかし安物でも数万円、まともな製品なら10万円以上とかなりの覚悟が必要なだけに、いつかは手に入れたいと思いつつも二の足を踏んでいる人も多いでしょう。そんなオシロスコープが2590円で手に入るとしたらどうします?

そりゃ、買いますよ!

......たとえそれが、部品をひたすらハンダ付けしなくてはならないDIYキットだとしてもね。

編集部註:初出時の見出し画像はサブタイトルに関連した一種のネタ画像でしたが、ニュースアプリなど一部の環境でサブタイトルが表示されないケースがあるため、差し替えさせていただきました。読者の皆様に誤解を招きましたことを謹んでお詫び申し上げます。

ちょっとした信号を見たいときに便利なオシロスコープ

ラジオやライントレーサー、オーディアオアンプなど、電子工作キットは数多くあります。電子回路がよくわからんという人でも気軽に作れるため、入門用としてはもちろん、改造用のベースとしても便利なんですよね。とはいえ、完成品と違って部品を1つずつ組み立てていかなければならず、時にはミスをしてしまうこともあります。目視やテスターを使った導通チェックでミスが発見できればいいのですが、往々にして、そんな簡単に見つからないわけです。

こんなときに役立つのがオシロスコープ。テスターと違って端子の変化を時間を追って表示できるため、「1kHzの正弦波が出ていれば正常」「矩形波が歪んでないか確認」といったように、周波数や波形までチェックできるわけです。

高価なオシロスコープは高い周波数に対応するほか、複数のチャンネルを同時に表示できて非常に便利なのですが、ちょっとした趣味の工作であれば、低い周波数で1チャンネルしか表示できなくても意外と活躍してくれるシーンがあります。例えばリモコンの信号を見るとか、無音時のノイズを観測したいとかであれば、低い周波数しか見られなくてもわりと大丈夫です。

こういった用途で使える簡易オシロスコープとして有名なのは、PCの音声入力端子を使った「ハンディ・オシロスコープ」ですね。ちょっとした回路の自作は必要ですが、かなり低価格に作れるというのが魅力。とはいえこれは、ちょっとした信号を見るにもPCが必要となるため小回りがききません。もっと手軽に信号をサッと見られるようなものはないかなと探して見つけたのが、オシロスコープのDIYキット「DSO138」です。

▲工作系のブログなどでたまに見かけるオシロスコープの「DSO138」。見た目からしてステキ。

どこで売っているのかわからず、最初は海外の通販サイトをチェックしていたのですが、探してみたら秋月電子さんで日本語マニュアル付きのものが売られているのを発見。さらに探してみると、英語マニュアルとなるもののAmazonマーケットプレイスで2590円という安さ(しかもプライム対応)で売っていたので、思わずポチってしまいました。ということで、組み立てていきましょう。

パーツの多さに絶望する前に、不足がないか確認

まずはキットの中身をチェック。赤い基板、液晶、抵抗、コンデンサー、コイル、スイッチ、端子類となんだかパーツがいっぱい入っています。

▲大雑把にパーツを種類ごとにわけ、確認。抵抗とコンデンサーは数値を間違いやすいので慎重に。

最初に部品がちゃんと揃っているか確認していくわけですが、抵抗のカラーコードが赤なのか茶色なのか分かりづらかったり、コンデンサーに印刷してある数字にズレやカスレがあって読みづらかったりと、なかなか難易度が高い作業です。しかも、抵抗なんて120Ωと10kΩが両方あるという嫌がらせまでされています。なにが嫌かって、この2つの抵抗のカラーコードは「茶・赤・黒・黒・茶」と「茶・黒・黒・赤・茶」なので、ひっくり返すとまったく同じになってしまい、見た目で区別できなくなってしまうんですよ!

▲値は違うのにカラーコードが同じという罠。写真だとまだ色がわかりますが、実物は赤と茶色の区別も怪しくなります。

ということで、文明の利器に頼ることにしました。テスターさんの出番です。とはいえテスター棒に指が触れていたり接触が甘かったりすると値が変化しますので、あくまで確認用で。まずはカラーコードを読み、テスターで確認するというのが確実です。

▲科学の勝利だ!テスター棒はクリップ式のに付け替えると、とても測りやすいです。

部品に不備がなければ、いよいよハンダ付け地獄の幕開けです。

ハンダ付けは表面実装パーツから開始

ハンダ付けの基本は「背の低いパーツから付ける」ことなので、まず最初はチップ抵抗などの表面実装パーツから付けていくのですが......私は間違えました。イイワケをさせてもらうと、組み立てのマニュアルは3枚入ってまして、いかにもここから初めてくださいという「Step1」と書かれてるやつが、実は2枚目だという罠があるんですよ。皆さんは間違えないようにしてください。

▲「Step 1」ってあるけどこれ、2枚目のStep 1なんですよね......。騙された。

さてこの表面実装パーツですが、大きく2つあります。ひとつはチップ抵抗。マニュアルには先にパッドの片方にハンダを溶かし付け、そこにチップ抵抗を置いてハンダ付け。後から残りのもう片方をハンダ付けするように説明されています。

▲一般的なチップ抵抗のハンダ付け方法。片方ずつハンダ付けしていくというものですが、慣れてないと失敗することも。

ですがこれ、結構難しいです。ハンダの表面張力でチップ抵抗が引っ張られて動いてしまうことがあるため、先の細いピンセットで押さえながらハンダ付けしなければいけません。また、チップ抵抗をピンセットでつまみそこね、弾いてなくしてしまう......なんてこともしばしば。ってことで、今回は先に接着してからハンダ付けをしてみました。

使用したのは接着剤ではなく、UVレジン。最近では100円ショップでも売ってるので、入手しやすいのが嬉しいところ。ちょうどいい粘度があるので、爪楊枝を使って基板上に点塗布し、そこにチップ抵抗を配置。場所が決まったら紫外線を照射するという手順です。UVレジンは紫外線をあてるまで硬化しないため、瞬間接着剤のように時間に追われないのがいいところ。じっくりと位置決めできるので、チップ抵抗の配置ミス確率が格段に下がります。

なお、UVレジンを塗る位置は、チップ抵抗側面の端にくるようにします。裏側だと紫外線が当たらず、硬化しません。また、大量にUVレジンを塗ると端子部分まで覆ってしまい、ハンダ付けができなくなってしまうので注意しましょう。つまり、接着といってもチップ抵抗の側面をUVレジンで点付けする、といったイメージです。軽くハンダごての先が当たっても動かない程度の仮止めしか期待していませんので、これで十分なのです。

▲UVレジンは100均のもの。爪楊枝を使い、チップ抵抗の側面あたりに点付けしておきます。

▲ピンセットでチップ抵抗を位置決め。紫外線をあてるまで硬化しないので、微調整し放題です。

▲最後に紫外線をあてれば硬化して動かなくなります。なお、撮影の都合でチップ抵抗の位置が変わってますが気にしない!

残りのICやレギュレーターはそこそこサイズがあるため、マニュアル通りのハンダ付けで楽勝です。つまり、まず足を1本ハンダ付けして位置を確認。問題なければ、ほかの足もハンダ付けするという方法です。足を熱しすぎるとICが壊れる危険があるので、ちゃちゃっと手早くやりましょう。

ハンダ付けをガンガン進めていくだけの簡単なお仕事

表面実装パーツのハンダ付けが終わったら、次は抵抗です。値を間違えないようカラーコードを読んで部品番号を確認し、基板上の番号と同じ場所にハンダ付けしていきましょう。汚かろうがなんだろうが最終的に動けばいいのですが、どうせならキレイにハンダ付けしたいですよね。

たぶん一般的だと思う手順は、ホールに抵抗の足を通して外側に開き、基板をひっくり返してハンダ付けするというものです。抵抗もズレませんし、足とホールの両方をハンダゴテの先で温めるのもやりやすいので、万人にオススメできるものといえるでしょう。

▲抵抗の足を通した後、外側(内側も可)に開く方法。抵抗が抜けなくなるのでハンダ付けしやすいです。

ですが、私がやってるのは足を開かずに真っすぐなままハンダ付けする方法です。これだと足が曲がってないため、見た目がちょっとキレイに見えます。あと、ハンダ付けした後の足を切るのが楽です。完全に私の趣味ですが。

▲足が真っすぐなままハンダ付けをしておくと、後で足を切るときに楽です。あと、裏面がキレイ。

足を開く方法と違って基板をひっくり返したときに抵抗が抜けてしまうので、これを押さえておかなくてはいけません。指で押さえると確実に火傷しますので、私はメンディングテープで仮止めしています。メンディングテープは熱に弱いですが、ちょっとハンダ付けする程度なら耐えてくれる頼もしい子。たとえ少し溶けたところで、パーツにこびりつく事もありません。

▲メンディングテープを使ってますが、ノリがこびりつかないものなら大抵大丈夫。手元にあるものを使いましょう。

抵抗は全部で23本。これをハンダ付けし終わったら、コイル、ダイオード、クリスタル、スイッチ類、コンデンサー、トランジスタなどとマニュアル通りの順番に進めていきます。Step通りに組み立てていくと、ちゃんと背の低い順になっているのが親切です。注意したいのは、コネクターやスイッチのハンダ付け。とくにスライドスイッチやBNCコネクターは20W程度では熱量が足りずハンダが溶けてくれないので、ワット数の高いハンダゴテを用意したいところです。

ちなみに手順は裏面にも続いてますので、忘れないように。テスト信号用のリング、JP3のショート、液晶基板のコネクターハンダ付けが残ってます。

動作しなくて焦るも、マニュアルを読んで解決

ようやくハンダ付けが終わったら、残るは動作確認です。ちなみに9VのACアダプターが必要となるのですが、手持ちは12Vとか5Vとかばかりで9Vがない......。ってことで取り急ぎ購入しました。センタープラスのもので799円。

▲お急ぎ便、便利ですよね。時間があれば、ハードオフのジャンクコーナーなどを漁るのもおすすめ。

ここで注意したいのが、いきなり液晶基板を付けないこと。まずはACアダプターを挿してTP22の電圧を測ります。この電圧が3.3Vであればオーケー。いったんACアダプターを抜いてJP4をショートさせて、ようやく液晶基板を付ける準備が整います。実はこの手順をすっかり見落として液晶基板を付けてしまい、動作しなくて悩んでしまいました......。マニュアル読むの、大切ですね。

▲「TP22」の電圧を測り、3.3Vであることを確認したら、C26の下にある「JP4」をショートします。

ということで、コレで本当に半田付けの終了。液晶基板を付ければ組み立て完了です!

▲無事に起動すると、画面に「DSO138」の文字が!思わず「ヨシッ!」とか口にしちゃう瞬間。

なお、マニュアルに「Troubleshooting」というコーナーがありますので、動作しない時はここを参考にチェックしてみてください。チェック用のフローチャートもあったり、各部分の電圧が書かれていたりと、かなり詳しくなっています。

動作確認は、テスト信号用にハンダ付けしたリングをプローブのクリップで挟むことで行います。1kHzの矩形波が出ていますので、この信号を見ながらコンデンサーを調整し、矩形波の歪みやノイズがなくなるよう修正しましょう。やり方は、マニュアルの「Probe Calibration」というところに書かれているので、手順通りに行います。

▲矩形波のなまりとか、オーバーシュートっぽいのが消えるよう調整していきます。

これでようやく完成です。撮影も合わせて組み立てていたので、なんだかんだで4〜5時間ほどかかりましたが、ちゃんと動いてます。試しに手元にあったPWMコントローラー基板の波形を見てみましたが、デューティー比が変わっていく様子がわかってニンマリしました。

むき出しは怖いので、ケースも買ってみました

いくら2590円のキットとはいえ、基板やパーツがむき出しのまま使うのは少々怖さがあります。とくにオシロスコープを使うのは何か工作しているときですから、ネジやら金属片やらが飛び込む危険が高くなっています。

ということで、専用のアクリルケースが売っていたので購入してみました。1100円です。

▲カットされたアクリル板とスイッチ、ネジ類がセットになったもの。思ってたよりちゃんとしてました。

こちらは組み立てマニュアルがなく、まさかの手探りか......と焦りましたが、Amazonの商品説明に手順が書かれていたのでひと安心。さすがにこのパズルはやりたくありません。

とくに難しいことはありませんが、問題があるとすれば液晶基板を一度外さなくてはならないことでしょうか。片側から引き抜くとピンが曲がってしまうので、全体的に少しずつ持ち上げていくのがコツです。PCの自作でIDEケーブルを使ったことがある人なら、なんとなくわかると思います。

▲透明なので、ケースに入れても基板は丸見え。DIYで作ったっぽさが残って、ちょっと嬉しかったり。

これで、安心して使えるようになりました。まー、スライドスイッチが動かしづらいとか、多少問題もありますが、そんなに頻繁に動かすものでもないのでヨシとしましょう。

ということで、本体だけなら2590円。さらにACアダプターとケースまで購入してしまったので合計4489円かかっていますが、意外とちゃんと使えるオシロスコープが手に入って満足です。とくに画面に周波数や電圧なんかも表示できるモードがあるのが便利ですね。

▲波形がちゃんと見えるって、いいですね。周波数や電圧などのデータを表示できるのはホント便利。

ちなみにハンダ付けに自信がない人には、ほぼ同じ機能で表面実装パーツがハンダ付け済み、しかもケースまで付属する「DSO150」なんていう製品もあるので検討してみてはいかがでしょうか。