アジア開発銀行(ADB)研究所は東京都内でシンポジウムを開催し、中国、韓国、インド、東南アジアなどアジア経済について討議した。ハッサンADBインフラ問題専門家が、アジアのインフラ需要報告書について説明した。写真はシンポジウム。

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2017年3月23日、アジア開発銀行(ADB)研究所は東京都内でシンポジウムを開催し、中国、韓国、インド、東南アジアなどアジア経済について討議した。ハッサンADBインフラ問題専門家が、アジアのインフラ需要報告書について説明。2016年からの15年間で26兆ドル(約3000億円)、年間で1兆7000億ドルを超えるとの見通しを明らかにした。

このシンポジウムには、吉野直行ADB研究所長(慶応大名誉教授)のほか、日本人として初めてADBチーフエコノミストに就任した澤田康幸・前東京大経済学部教授、広田幸紀・国際協力機構(JICA)チーフエコノミストらが出席した。

アジアのインフラ需要報告書は、中国など東アジアや東南アジア、南アジアを含む45カ国・地域を対象に、必要なインフラ投資の規模を試算した。2016年からの15年間で26兆ドル、年間で1兆7000億ドルを超えると指摘した。前回の2009年時点の予測では10〜20年のインフラ需要は累計で8兆ドル、年あたり7500億ドルとしており、年間ベースで倍増した。アジア地域は世界で最も高い経済成長が続き、インフラ需要が急拡大していることがその背景となっている。

15年にADBなどの国際開発機関による支援がインフラ投資に占めた割合は約2.5%。ADBが100億ドル、世界銀行が66億ドルだった。16年に中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が参入したが、初年度の融資額は17億ドルにとどまっており、これらの機関による支援だけでは不足分を埋めるのは困難という。

ADBは各国・地域が財政改革を進めて歳入を増やすほか、民間部門が担うことになると指摘。民間投資額を現在の年約630億ドルから16〜20年は年2500億ドルと4倍に増やす必要があるとしている。

シンポジウムでは、必要な巨額資金を各国、ADB、AIIBなどがいかに資金調達するかに注目が集まった。米国トランプ政権が同じく巨額のインフラ投資計画を打ち出していることや、中国の「一帯一路」(海と陸のシルクロード)構想などとの調整にも留意すべきだとの意見が出た。(八牧浩行)