バリアフリー字幕版のみで上映される映画『きらめく拍手の音』

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 聴覚障害の両親を持つ韓国の新鋭イギル・ボラ監督が自身の家族の姿を追ったドキュメンタリー映画『きらめく拍手の音』が、バリアフリー字幕版のみの上映で、6月より全国順次公開されることが明らかになった。

 本作は、これが長編デビュー作となるボラ監督が、耳の聞こえない人々の日常を、家族という身近な存在だからこその繊細な目線で追っており、本国韓国では2014年にロードショー公開、日本では山形国際ドキュメンタリー映画祭2015において、アジア千波万波部門の特別賞を受賞している。

 バリアフリー字幕とは、耳が聞こえない人や聞こえにくい人でもその映像を楽しめるよう、セリフだけでなく、音楽や環境音の説明、誰が発している言葉なのかといった補足情報が一般的な字幕に加えられたもの。2016年に施行された障害者差別解消法により、現在、日本では映像のバリアフリー化が急速に進められており、放送字幕に対しては字幕付与率が高まっているものの、パッケージや映像配信においてはまだまだ進展が乏しく、映画館では一部劇場にて期間限定で上映という形が一般的な状況だ。

 パッケージや映像配信における映像のバリアフリー化が進まない理由の一つは、やはりコストの問題。総務省からの補助金政策がある放送字幕との進展の差からいっても明確だろう。映画『きらめく拍手の音』はその内容もあり、バリアフリー字幕版のみでの上映を決めているが、その費用は現在クラウドファンディングで募っている(4月28日(金)まで受付中)。

 高齢難聴者も増えていく今後の日本社会において、聴覚障害者のみならず、より多くの映画ファンが自由に映画を楽しめる環境を生み出す映像のバリアフリー化。そのニーズが今、強く求められている。(編集部・浅野麗)

映画『きらめく拍手の音』は6月よりポレポレ東中野ほか全国順次公開