UAE戦は78分からの途中出場だった本田。はたしてタイ戦は? 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 3月28日にタイとのワールドカップ予選に臨む日本代表。23日のUAE戦(2-0)前に怪我に倒れた長谷部誠に続き、25日には今野康幸、郄萩洋次郎、大迫勇也の故障離脱が決定する(追加招集は遠藤航と小林悠)など、ここにきて満身創痍の状態にある。
 
 長谷部、今野、郄萩を欠く中盤センターと並ぶタイ戦の大きな注目ポイントが、大迫の代役問題だ。昨年10月に代表復帰して以降、UAE戦まで3試合連続でCFに入った大迫は、随所で確度の高いポストワークを披露。DFを背負いながらボールを受けた後、中盤への落とし、そして両ウイングへの直接のスルーパスという2つを駆使し、攻撃の軸として機能してきた。
 
 日常的にブンデスリーガで屈強なDFたちと競い合っているからだろう。少なくともアジア・レベルにおける大迫のポストワークはほぼ無敵の状態で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任当初から提唱する「縦に速い攻撃」のキーマンたる活躍ぶりを見せた。
 
 この「縦の速い攻撃」というのは、一般的にカウンターと同義語にされがちだが、実際はそう単純な話ではない。相手の陣形が整う前に攻め込む(つまり速攻)という狙いがある一方、ビルドアップの早い段階で縦に楔のパスを入れることで敵の最終ラインを下げさせ、敵2ライン(DFとMF)間にスペースを作るという意味合いもある。
 
 大迫がCFに入ったここ3試合は、その両方で機能性が確実に上がっており、明確な形が見え始めてきた。ハリルホジッチ監督はUAE戦にこれまで以上の大きな手応えを感じていただけに、タイ戦でも基本的には同じスタイルを踏襲するはずだ。
 
 大迫の代役候補は、今回の招集メンバーで5人。岡崎慎司、浅野拓磨、久保裕也、小林、そして本田圭佑だ。ただ、岡崎、浅野、小林はポストプレーよりも裏に抜けるのが得意なタイプで、ここ2試合は右ウイングを務める久保も右SBの酒井宏樹と良好な関係を築いているだけに、あえてCFに回すのは最善策とは言えない。
 
 そこで浮上するのが、本田だ。昨年10月のオーストリア戦ではCFに入って見事なポストワークを披露。後方からのボールをワンタッチで裏のスペースに流し、原口元気の先制点をアシストしてもいる。ハリルホジッチ政権下でチーム最多の9ゴールを挙げるなど、決定力も申し分がない。
 
 もちろん、不安はある。所属するミランで出番を失っているだけに(2017年のプレータイムはアディショナルタイムの1分間のみ)、試合勘とコンディションの両面で招集そのものに疑問の声が挙がったのは周知の通りで、途中出場で15分弱プレーしたUAE戦でも大きなインパクトを残せなかった。
 
 しかし、前述した大迫と同様の役割をこなしうる能力(フィジカル、技術、経験)を持つのは、今回の招集メンバーで本田のみだ。岡崎など他の選手をCFに置けば、スタイルの微調整が必要になってくる。
 
 その本田は3月25日の練習後に取材に応じ、タイ戦を次のように展望している。
 
「思った以上に厳しい試合になると思います。タイは引いてくるはずで、いまの日本がやっているサッカーは攻められるほうが特長を活かせる。引かれるとカウンターができないので。でも、(今のチームが)ポゼッションで戦うイメージが沸きますか? 僕らが沸かさないといけないんでしょうけど、こないだのUAE戦でそれだけの内容を見せられなかった。タイ戦はUAE戦とまったく同じサッカーをしたらいいわけじゃないし、まったく違う試合になるでしょう。それはみんな分かっていると思います」
 
 さらに、タイが最終予選グループBの最下位でホームということもあり、大量得点での勝利が期待されている現状については、こう釘を刺した。
 
「そういう雰囲気や情報は危ない。思ったより締めたほうがいい。思った以上に厳しい試合になると思っていったほうがいいですよ。オシャレに2人抜いてやろうかとかそういうプレーはせず、簡単なパスを簡単に繋ぐとかを徹底したい」
 
 オーストラリア戦でのCF本田をはじめ、最終予選初戦で初キャプの大島僚太、サウジアラビア戦で2試合目の久保、先のUAE戦で第3GKと思われていた川島永嗣をスタメンに抜擢するなど、ハリルホジッチ監督は周囲をあっと驚かせる采配も少なくない。
 
 そもそもミランで苦しむ背番号4を、「チームに必要不可欠な存在」と位置付けて強行招集している。それだけに、指揮官が「CF本田」という奇策をタイ戦で用いる可能性は、十分にあるだろう。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)