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『ルーム』(15)で社会から隔離された母親役で研ぎ澄まされた演技を見せ、第88回アカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソン。超大作『キングコング:髑髏島の巨神』では男前な戦場カメラマン役で、キングコングと共演した。来日したブリーが、過酷だったロケの秘話を語ってくれた。

ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(14)のチームが放つ本作のキングコングは、全長31.6メートルという巨体でただならぬ威圧感を放つ。ただコングは破壊者ではなく島の守護神であり、実際にブリー演じるメイソン・ウィーバーの命を救うことになる。

――今回グリーンバックでの撮影は大変でしたか? どんなふうにアプローチをしていったのですか?

そうね。本当に想像力を使うしかなかったわ。みんなにとってキングコングは何か意味をもった存在だと思うの。私にとっては周りの環境とのつながりをもう一度再確認していくという作業だった。

私は以前インドに行った時、ゾウに会って、少し心が揺さぶられたの。ゾウはものすごく強い動物ではあるけど、とても優しい面を持っていた。最初は怖かったし、もちろんゾウは強いから人を傷つけることができるんだろうけど、ゾウがそういう行動に出ることはなくてすごく感動したわ。その時のことを思い浮かべて演じたの。

――紅一点の戦場カメラマン役。役柄についてどんなリサーチをしましたか?

実際に戦場カメラマンの方がどういう仕事をされているのかを調べたの。また、70年代に実在したカメラマンの方がいらしたので、そういう方の文献も読んだし、今でも戦場に出向いているフォトジャーナリストの方とも会って話したわ。そういう情報に基づいて、自分なりにメイソン役を作っていったの。

また、私は高校の時、授業で写真を勉強していて、一応カメラのいじり方を知っていたので、今回の役をきっかけに写真を撮るようになったわ。大きなスクリーンで見た時、カメラ使いが下手くそだとすごく目立つから、カメラに慣れることは非常に重要だった。おそらく当時のカメラはマニュアルだから今よりかなり複雑だったと思う。そして、走って逃げるシーンも多かったから、毎日身体的なトレーニングを1日2時間やっていったわ。

――メイソンは自分をしっかり持っているたくましい女性です。彼女に共感しましたか?

今までの映画と比べるとずっと行動的なヒロインね。しかも救われるのではなく、みんなを救う立場にある。今の時代だったらそれもありかなと。自分が大事だと思うことはきちんと伝えなければいけないということをメイソンのキャラクターを通して学んだの。他の人から「絶対に間違っている」と言われても、同意してくれない人が周りにいたとしても、自分が信じていることはちゃんと言わないといけないなと。真実は時間が経てばわかることだから。

――キングコングの手のひらに乗った感想を教えてください?

素晴らしい感覚だったわ。今回は毎日10時間くらいどこかに登ったりジャンプしたり走ったりと、身体的にかなりハードな撮影だったでしょ。でもやっと5カ月経った後にそのシーンを撮影したの。ただ寝ていればいいだけのシーンだったけど、演技というよりはとにかく疲れて寝ていた感じよ(笑)。

――完成したキングコングの映像を観ていかがでしたか?

驚いたわ。私にとって表現の肝となるのは目の表情だけど、キングコングの場合は特に目が大きいからとても大事よね。しかもキングコングは言葉を話せないから、目を見て心がわかるんだと思う。CGIで作った表情だけどとても感動したわ。去っていく姿もカッコよくて 本当に涙が出てくる。私たちは助演で主役はキングコングよ。

――これまでインディペンデント映画で活躍されていて、ここまでの超大作の出演は初めてとなりましたね。撮影方法やロケで一番驚いたことは?

まずはセットにいる人の数の多さにびっくりしたわ。あとはCGIに関わっている人の数の多さね。毎日来て写真を撮って、どうするかということをそこで相談していたわ。おそらくクレイジーな最先端の技術が存在していて、最終的にどういう形になるのかをそれぞれ頭の中で描いているんでしょうね。でもそれは目の前にはないから、私たちはダンボールに何か絵を描いたものを見せられるだけだったわ。

――ロケで大変だったことはどんな点ですか?

大変だったのは天候よ。3カ国にまたがって6カ月間も撮影をしたけど、すごく暑い日からものすごく寒い日までさまざまだったから。でも、母なる自然が雨を降らせると撮影できないから、そういう時は笑うしかなくて。ものすごくお金をかけて入念に計画を立てて準備をするけど、雨が降ればお手上げだった。ハワイでは洪水になるくらいの雨が降ってしまったし。そんな時はちゃんと食べ物があるトラックにいられるようにと願うしかなかったわ。

――もし、ブリーさんが1970年代の髑髏島に行くことになったとして、何か1つだけ持っていけるとしたら何を選びますか?

たぶんラベンダーオイルね。虫を自然に避けてくれるから。私は自然の中にいるといつも刺されちゃうの。だから自分を守らないとね。

――『ルーム』も素晴らしい作品でしたが、いつも作品選びは何を基準に決めていますか?

物語の伏線がどういうものなのかが大事ね。私は自分の考えていることを行動に移すために映画に出ているわ。映画はたぶん映画を観てもらうために人が集まり、映画を観た人が自分たちの人生について考えることが重要だから。

『ルーム』はいろんなことを考えたり感じさせたりする映画だった。それで今度はそういうものをもっと大きな大作のなかでやってみたいと思ったの。本作は映画を観ることそのものの楽しみも味わえるけど、それ以外のもの、何か考えさせるようなものも含んでいる。愛についての考え方もあるし、人間がいつも物事を支配したがることについての疑問も投げかけているでしょ。

――これまでやってきたなかで、女優をやっていて良かったと感じた瞬間とは?

スイスに『ショート・ターム』が招かれて上映された時、世界中からいろんな国籍の方が集まってきて6000人くらいの方が映画を観てくれたの。英語を話せる方は少なかったけど、その時にものすごいスタンディングオベーションを浴びたわ。みなさんが私たちのところへやってきて、ハグをしてくれたの。本当に鳥肌が立つような体験だった。その時は報酬がいくらだったとか余計なことは全く頭のなかに浮かばないくらいすごく感動したの。メッセージをみんなに伝えるのに言葉は関係ないんだなと思ったわ。

■プロフィール
ブリー・ラーソン 1989年10月1日、アメリカ・カリフォルニア州出身。『ショート・ターム』(13)で注目される。『ルーム』(15)の母親役でアカデミー賞主演女優賞などの多数の映画賞を受賞。待機作にマーティン・スコセッシ製作総指揮の『フリー・ファイヤー』、ジャネット・ウォールズの回顧録に基づく『The Glass Castle』、自身の初監督長編映画『Unicorn Store』、マーベル初の女性が主役のヒーロー映画『Captain Marvel』がある。短編で監督や脚本も手がけ、シンガーソングライターとしても活動していた。
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(山崎伸子)